電力会社はスマートグリッドへの抵抗勢力

2012年03月26日 18:00

池田信夫さんがスマートメータの「ゼネコン構造」を指摘したのがきっかけで、ネット上に電力会社を批判する論調が目立ち始めた。松本徹三さんも発注を許してはならないと怒っておられる。僕も二人と同意見である。

それでは、なぜ電力会社は役に立たないスマートメータを調達するのだろうか。その理由は昨年3月に書いた記事を読んでもらえば分かる。最後の部分は次の通りである。

スマートグリッドが実現する時代には、広い地域に分散する多種多様な機器の間での効率的な情報流通と、それに基づく最適制御、つまり情報通信システムの側に、ビジネスとしての価値が集中するようになる。どんなに巨大な発電所を持っていたとしても、それはスマートグリッドに対する一供給者に過ぎない。東京電力の今回の事故は、中長期的に考えると、電力会社の地位を低下させていくきっかけになるかもしれない。


スマートグリッドでは情報通信システムが主役で、発電所は下請けに落ちぶれる。その上、別の池田さんの記事の通りに運べば、電力会社は6兆円の減収を被る。そんなスマートグリッドに直結する「まともな」スマートメータを調達しようと考えるはずはない。「真の」スマートグリッド化を遅らせるのが電力会社の狙いである。

電力会社がスマートグリッド化への抵抗勢力であることは明らかだ。これを認めたら、膨大な社会的損失が発生する。単に電力エネルギを節減できないというだけでなく、多種多様な機器を相互に接続することで実現する「物のインターネット」のビジネスへの可能性が失われるのである。

小さな例をあげよう。利用者の位置を人感センサで検出して照明を点滅させるとしよう。人がいないのに電気が付いている、という状態が避けられ省電力に役に立つ。同時に、人感センサの情報を警備会社に渡せば防犯サービスにも利用できるだろう。高齢者の独居世帯に設置しておけば日常行動が解析でき、普段と異なっていたら(たとえば1時間動きがなかったら)駆け付ける見守りサービスも提供できるだろう。このようにして次々とサービスが生まれてくるのだが、サービスごとに個別に人感センサを設置するのは無駄だ。スマートメータに情報流通のゲートウェイの役割を果たさせるべきだ。

だからこそ、抵抗勢力の存在は許してはならないのである。

山田肇 -東洋大学経済学部-

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