電力は「第二の米」になる

2012年04月26日 09:33

藤沢氏のアゴラ記事、太陽光発電の強制買い取り価格42円/kWh、20年間保証の異常を拝読。直感的に、「電力」は「第二の米」になると感じた。

また、この42円/kWhという単価は、ドイツなどの25円~30円/kWh程度の買取価格よりもはるかに高い。なぜ、そのような高価な電気を、国民が負担しなければいけないのだろうか。言い換えると、なぜ国民は毎日毎日、太陽光発電業者にお金を渡さなければいけないのだろうか。

全く同感である。そもそも、民主党に政権交代した背景の一つに、「米」に代表される「農業」と言った既得権益を解体する事があった筈である。

農業を見れば判る通り、一旦権益の体制、詰まりは、財源(税)を確保する役所(農水省)、税を食い物にする魑魅魍魎の組織(全農、農協他)、生産者(農家)、農家への票乞食(政治家)間相互の関係が出来上がってしまうと、お互いが強固に結び付き、解体は大変な大仕事となる。

本来、TPP加入を好機と捉え世界標準に転換すべきなのであるが、米ワシントンポストにかかる広告を掲載してみたり、兎に角、「資金」と「暇」が潤沢にあるので手強い。

財政問題に頭を抱える日本政府が、こんな厄介なものをもう一つ作って一体どうするんだ?と言うのが、私の率直な疑問である。

政治が弱体化し、結果、官僚の暴走を抑えられなくなっている状況が背景にあると思う。

経産省は本来「政策官庁」であり、予算の配分と言う意味では余り恵まれていない。大きい所のNEDOでも、年間予算が精々2,000億円程度である。

これを、委託研究と言う名目で各民間企業に振り分け、金額に応じて天下りを引き取って貰う訳である。下記の他省庁に比べれば自転車操業の悲哀を感じている事であろう。

それに比べ、農水省は監督する農業自体が最早産業と言うより、利権の巣窟ではないか?

総務省は何と言っても「宝くじ」の売り上げが大きい。関連する団体に一体何人が天下っているのか想像すら出来ない。これに加えて、アゴラでもしばしば取り上げられている「電波帯域」と言う別の財布も隠し持っている。

厚労省は「年金」をがっちり押さえている。AIJ事件で、我々国民は凄まじいばかりの厚労省の年金への集り振りを目にした訳であるが、特に彼らに反省の様子はない。それがどうしたのだ?と言った所ではないか?

飽く迄推測であるが、経産省が脆弱な政府に付け込み、大きくてしっかりした天下り組織の構築を目指すのは理解出来る。何時までも他省庁の厚遇振りを指を咥えて傍観したくはないのであろう。

野田政権が理解すべきは、「公務員に取っての天国」は「国民に取っての地獄」と言う冷徹な事実である。

今一つ危惧するのは、今回の太陽光発電と言うアドバルーンに隠された、民主党政権の「バラマキ体質」である。「大きな政府」志向と言っても良いかも知れない。

「バラマキ」を止めず、政府が肥大化すれば歳出はまるで雪だるまの如く膨れ上がる。

野田首相は消費税増税に熱心であるが、穴の開いたバケツにコップで幾ら水を継ぎ足してもバケツの水が一杯になる事はない。その内、嫌気がさして、作業を止めてしまうのが落ちである。

野田政権が目指すべきは、バラマキや政府の肥大化に決別をし、冗費削減を徹底した、コンパクトで効率の良い政府の筈である。

電力行政に就いて言えば、「発電」、「送電」、「配電」を分離し、この三者の「全体最適」をトコトン追及すると共に、最大効率を達成する事の筈である。

そして、その基盤となるのは、「透明」で、優勝劣敗の原則が貫徹された「自由」な「電力市場」の筈である。

こう言った、透明性の高い市場に「官僚」、「政治家」、「権益に保護された特定の事業者」の居場所はない。

太陽光発電強制買い取りの今後の進展は、かかる意味合いに於いて、野田政権の本質が、所詮既得権益者の守護神なのか?、或いは国民の為のものなのか?、を判定する試金石になると思う。

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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