小沢裁判「限りなく黒に近い判決」―「納得」できる石原知事発言!

2012年05月01日 07:30

新聞報道によると、石原都知事は無罪判決が下された小沢氏について、「まあ無罪といっても、灰色。それも限りなく黒に近い判決でしょ? 国民だって、そっぽ向きますよ」とばっさりと斬って捨てたと言う。

これまでの数多い石原発言の大半が「下品で挑戦的な「不規則発言(野次)」に近い発言でだったのに対し、小沢判決に対する感想は、石原氏が「小沢嫌いである事」を割り引いても、国民の大半が納得する発言だと思う。


一方、藤村修官房長官は「小沢氏は裁判の中で説明責任を果たしてきた」と語ったそうだが、公判で繰り返した「すべて秘書に任せていた」「記憶にない」を説明と受け取る国民は少なかろう。

判決文を読むと「4億円を元秘書らが虚偽記載した事実」や「簿外処理の報告の了承」も認定しているだけでなく、元代表が収支報告書を「一度も見たことがない」と述べたことは不自然で「共謀共同正犯が成立する相応の根拠があるとも考えられる」と述べている事が、石原発言の「限りなく黒に近い」発言に繋がったと思われる。

今回の「実質有罪、形式無罪」とも読める判決は、法律上「無罪」である事は事実であるが、小沢元代表の弁護団が「完全な無罪」と言う主張するには無理があり、「完全無罪」だと主張するのであれば、控訴すべきである。

米国では、刑事事件の一審判決で検察側が敗訴した場合、検察側が控訴する事は出来ないのが原則である。その理由は、強制捜査権や逮捕権をはじめとする強大な公権力や無限に近い資金を投じて起訴に持ち込んだにも関わらず「合理的な疑いを超えて」犯罪が存在したと陪審員を説得できない様では、それ以上審議する事は人権の侵害に当ると考えるからである。

又、自然科学なら別として、人間社会で『不実=存在しない事』を証明する事は不可能に近いため、米国には“無罪(Innocent)”と言う判決はなく、“Not Guilty-有罪に非ず”と言う判決になることも申し添えて置きたい。小沢氏の判決は正に米国式の「疑わしきは罰せず」の原則を適用した「有罪とはいえない」と言う判決で、「無実』とは別物である。

「元々の証拠構造の限界が、犯罪を認定する瀬戸際のぎりぎりのところで露呈して、辛うじて有罪判決が出なかった」と書いている法律専門家も居る以上、控訴されれば、そこは再び問題になってくる可能性が残り、小沢氏や弁護団としては無罪を手放しでは喜べないのが、実情ではなかろうか?

今回の小沢判決は「Jシンプソン判決」の日本版で、石原知事の「灰色。それも限りなく黒に近い判決」と言う言葉に多くの国民が納得するのも尤もである。

「シンプソン判決』の様な悪名の高い判決でも、検察側が控訴出来ない理由は、先述の通り、公権力と民間の力の違いを前提にした米国司法制度の公正の理念が根底になっている。

シンプソン氏が如何に不世出の名選手とは言え、アメリカンフットボールの選手に過ぎず、仮にも将来の首相を目指す政治家である小沢氏の果すべき社会的,道義的責任とは根本的に異なる。

1993年に刊行したその著『日本改造計画』で、「連座制も強化してでも政治腐敗防止制度を確立すべきだ」と提言するだけでなく、規正法違反者について「言い逃れを封じる。政治家自身が資金管理の責任を負う実効性のある規正法の見直しが必要だと強調するだけでなく、「過半数が賛成している案を、少数のダダっ子がいて、その子をなだめるために、いいなりになってすべてを変えてしまう」のは「少数者の横暴」だとも述べていた小沢氏と現在の小沢氏は今や完全に別人である。当時の小沢氏の主張(原点)は、将来の政界再編期の主要な政治課題を先取りしたものとして、私には輝いて見えたものであった。

欧米先進国の様に政治腐敗を防止する司法制度が整備されていない日本では、訴追された政治関係者に依り、捜査の手加減が変る事が重なり、政治色の強い裁判結果にはすっきりしないものが多い。

佐藤優氏の書いた「国家の罠」に出て来る手法が横行している事も間違いない。司法への信頼の揺らぎは、判決結果をまともに受け取れない心情をかもし出す、例えば、私個人の主観的な結論では:
有罪判決が当然だと思った例 = 鈴木宗男氏の判決
有罪判決は不当だと思った例 = 佐藤優氏の判決
無罪が納得出来ない例   = 小沢判決

この様な印象の異なりは、容疑をかけられた本人の弁明の説得度で出来たものである。従い、小沢氏が真剣に潔白を証明する努力を通じて国民の疑いを解くには、先ず国会に出て証言する事である。国会の証言で小沢氏が国民を説得出来れば「完全無罪』は勿論、選挙上手で有名な小沢氏の如何なる選挙対策より有効である事は間違いない。

民主党の輿石東幹事長は「裁判で結果が出たから証人喚問に応じる必要はない」と述べたそうでだが、司法の結論と「国民の信用回復」は別物で、判決後も、国民世論の77%以上が国会での説明を要求している事実を政治家としてどのように受けとめるつもりなのであろうか?小沢氏が国会の証人喚問を無条件で受けない限り「まあ無罪といっても、灰色。それも限りなく黒に近い判決でしょう」と言う石原知事発言は世論として固まってしまう気がしてならない。

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