家電に続き石油化学も海外移転を加速するのか?

2012年06月08日 12:32

朝日新聞の伝える所では、住友商事がロシアにガス化学工場建設 アジアに輸出との事である。

住友商事は、ロシア極東にガス化学工場を建設する方針を明らかにした。日系企業としては初めて。現地の安くて良質な天然ガスを加工し、化学原料にして日本や中国、韓国などアジアに輸出する。再選したプーチン大統領は外資を利用した極東開発を掲げており、本格的な日ロ協力事業の試金石になりそうだ。

冷静に考えてみれば、石油化学は実証済みの枯れた技術を活用した産業であり、こんなに原油価格が高騰している今日、日本国内に留まる事に兼ねてより違和感を持っていたのは事実である。

恐らく、廉価な天然ガスから製造された中間製品の主たる輸出先は中国であり、残った一部を韓国に輸出したり、或いは日本に引き取るスキームと想像する。

事業を成功させる為に必要な必須の要素、詰まりは、「人」=「優秀な日本、ロシアのエンジニア」、「モノ」=「豊富に存在する廉価で良質な天然ガス」、「金」=「日本企業の潤沢な資金力」、「市場」=「中国と言う成長を続ける巨大マーケット」に恵まれ、ロシアの政治リスクはあるものの、近い将来世界屈指の化学コンビナートに成長するのではないか?

それでは、今回発表があったロシア極東プロジェクトで石油化学産業の海外移転は打ち止めであろうか? 私は決してそうは思わない。

ミャンマーは豊かなエネルギー資源を持つ事で世界の注目を集めている。

原油の確認埋蔵量は6億8600万億バレル。予想埋蔵量はその4.7倍の32億バレルと推定されている。天然ガスの確認埋蔵量は17兆6500億立方フィート。予想埋蔵量はその5倍の88兆7000億立方フィート。世界の原油資源国と比べれば、ミャンマーの原油埋蔵量はたいした量ではないが、天然ガスはそれなりの規模である。確認埋蔵量こそ全世界6600兆立方フィートの0.27%相当しかないが、予想埋蔵量でみればインドネシアやマレーシアに迫れる天然ガス資源国だ。

西に成長著しいインド市場、東にタイ、ベトナム市場を持つ事から、ロシア極東プロジェクト同様、日本企業が積極的に関与する事で、東南アジア屈指の化学コンビナートに成長する可能性は高いと思う。

どうも、家電産業に続いて石油化学産業も日本から消えてしまいそうである。当然の事として、かかる集積度の高い産業がすっぽり抜け落ちてしまう事で、企業城下町の夕張化が進展する筈である。

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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