日本の新聞はビクともしない

田村 耕太郎

久しぶりの投稿させていただきます。いつも興味深く拝見させてもらっている岡本裕明氏の最近記事見直されるかー新聞の価値に一言。

日本のメディア経営については情報公開が十分でないため外からイメージで議論がなされていますが、色々あるけど日本のドメ・メディアはしぶとい体力持っています。だから改革が遅れているのですが・・・


まず新聞の発行部数の減少割合。岡本氏のご指摘は「新聞を読まない人が増えています。私の周りでも”ネットで情報ゲットするから”とか”新聞って邪魔じゃない”と、もやは新聞を取るのと家電(家庭の固定電話)は時代の流れでそのポジションがどんどん隅に追いやられている気がいたします」と始まり、「97年には一般紙の朝刊発行部数は4726万部。それがボディブローのようにじわっと下降線を辿り、2011年には4409万部となっています」というもの。

これって15年間で6.7%しか部数が減っていないということです。日本の今後の高齢化も非常に危惧されていますが、ピークでも年間の人口減少率は1%以内です。これ私は十分対応可能と見ますが、新聞の部数減少ペースは15年で7%なんです。つまり、年平均で0.4%です。人口減少ペースより減っていないのです。もちろん、楽観はできませんが、このペースなら経営的に十分対応可能です。

上記の朝刊紙の減少部数の大部分は全国紙と見られます。地方紙は堅調です。選択と集中が不明瞭な全国紙と地域に根差している地方紙ではけっこう業績が分かれていると思います。

地方に食い込んでいる地方紙と比して、大きく部数減らしているのは全国紙ですが、彼らは大都市中心部にいい不動産持っています。一部を除いて不動産運用でまだやれます。それと経営的に言って、部数と記事の質ははっきり言ってあんまり関係ありません。いい記事書いてりゃ売れると思っているナイーブな人は新聞社にはあまりいないと思います。もちろん、日本の新聞では「言論」と「報道」がよく混同されていますし、中立公平という、言論としてはありえない(発行部数拡大目的の?)立場をとることは今後改善の余地があるかと思います。

最も読まれている面はテレビラジオ面、社会面、健康・文化面、スポーツ面という感じで、後ろから新聞を読んでいく人の方が多いというデータもあります。インテリはこの状況を好まないかもしれませんが、嗜好は人それぞれで、それに紙面も対応しています。これは一部のクオリティペーパーを除いて世界的にそうだと思います。

日本の新聞社もテレビ局も世界的に高過ぎる人件費を世界標準にするだけでまだまだ経営できます。色々言われる日本のメディア経営ですが、しぶといし瀬戸際にあるなんて状況ではまだないと思います。