原子力についての4枚の図

2012年08月13日 12:50

8月15日に、またニコニコ生放送で原発の討論会に出ることになった。「わかりやすい図を出してくれ」とのことなので、パワーポイントを4枚描いたが、本番で使えるかどうかわからないので、せっかくだから紹介しておく。

原発の健康リスクは石炭火力や石油火力より小さい

スライド1


上の図のように、TWhあたりの死者では、原発が群を抜いて低い。これはチェルノブイリの死者を含むWHOの統計だが、発電にともなう死者の半分は石炭火力によるもので、採掘事故だけで年間1万人を超える。日本で原発を全廃すると、大気汚染を含めて年間3000人ぐらい死者が増えるだろう。

原発の社会的コストは高くない

スライド2

これはEU委員会の調査した外部コストとOECDの調査した直接コストを合算した数字(一部修正)だが、環境汚染や健康被害などを勘案すると、原子力のコストは天然ガスとほぼ同じで、再生可能エネルギーより圧倒的に安い。

低線量被曝のリスクは受動喫煙ぐらい

スライド3

広島・長崎の被爆者の追跡調査では、癌の増加率は図のように100mSv(0.1Gy)で5%以下。このリスクは受動喫煙や野菜不足と同じぐらいで、塩分の取りすぎや運動不足より小さい。

累積的な被曝のリスクには閾値がある

スライド4

原爆のような瞬間的被曝のリスクに閾値があるかどうかについては議論があるが、長時間にわたる累積的被曝のリスクには、明らかに閾値がある。世界各地の高線量地域の疫学調査でも、発癌死亡率の増加はみられない。図のように世界平均の4倍の放射線を浴びる中国の陽江地域では、癌死亡率はむしろ下がっている。

以上はすべて公的機関の統計である。反原発派のみなさんが「役所のデータは信用できない」というなら、それに対抗できる信頼性の高いデータを出してほしい。「福島で奇形児が産まれた」とか「町田で鼻血が出た」とかいうアドホックな話は何の証拠にもならない。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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