デジタル化のもたらすもの

2012年08月16日 11:01

朝日新聞の伝える所では、英BBC会長、NYタイムズCEO就任へ デジタル強化との事である。

米新聞大手ニューヨーク・タイムズは14日、英BBC放送のマーク・トンプソン会長(55)が最高経営責任者(CEO)に就任すると発表した。デジタル戦略に精通した同氏を招き、経営立て直しをめざす。

同氏は1979年にBBCに入り、プロデューサーとして報道番組の編集長などを歴任。英民放テレビ社長も務めたことがある。04年に46歳でBBC会長になり、テレビ放送からラジオ、ウェブサイトなど幅広いメディアサービスを手がけてきた。


マーク・トンプソン会長と言えば、彼の発した「最早BBCは放送局ではない」と言う言葉が、今にして思えば放送局のみならず、メディア全般の変化と、進むべき方向を暗示するものであったと思う。

そして、その背景にあるのは勿論、情報全ての「デジタル化」に他ならない。

BBCは、放送がネットに飲み込まれるのを恐れて立ち竦むのではなく、自らネットに飛び込み、ネットの長所を活用し、ユーザーの利便性を最大化する事に成功したのだと思う

私事で恐縮だが、私は基本テレビは観ないし、新聞も大分以前から購読していない。朝起きると先ずBBC Newsをざっと閲覧する。そして、その後時間を見つけては優先順位の高い記事から順次読み、面白そうな写真集を見たり、興味あるテーマの音声付映像を視聴している。

態々テレビ等見なくてもこれで充分である。ネット環境さえあれば、端末は何でも良く、「何時でも」、「何処でも」、閲覧、視聴が可能である。

最近、グローバル人材と言う言葉を目にする機会が増えたが、こういう事を習い性として続けておれば、外国人とのコミュニケーションに苦労する事はない。

今となっては遅きに失した感があるが、NHKも含め日本の放送局はBBCを見習い、追随すべきであったと思う。現状を継続する限り、「ジリビン」の「先細り」、は必然であり、その先にあるものは「消滅」位しかイメージ出来ない。

放送が劣化すれば、テレビ端末や周辺機器の需要が減る。シャープの経営危機を含め国内家電メーカー凋落の背景はここにある。

更には、余程の高地にでも行かぬ限り、空気はどこにでもあり我々が普段意識する必要がない様に、ネット環境も余程僻地に行かぬ限り問題無い。結果、従来の如くサービス毎にスタンドアローンの家電製品を購入する必要はない。

ネットに接続する端末を購入し、後は、欲しいサービスを使用可能にしてくれる「アプリ」をダウンロードすれば事足りる。カーナビが良い例と思う。家電メーカーは、洗濯機や冷蔵庫と言った、所謂、「白物家電」以外製造すべき商品が無くなってしまったのではないか?

家電商品のメインの商流である家電量販店も無傷では居れない。7月のアゴラ記事、家電量販店の凋落でも説明したが、アマゾンの如きECが「前門の虎」とするならば、販売すべきメディア関連商品の不在は「後門の狼」と言う所であろう。

ヤマダ電機月次IR情報見る限り、7月は9店舗新規開店したにも拘わらず、売り上げは前年同月比71.5%と悲惨の一言に尽きる。

「デジタル化」はメディアの「存在」や「あり方」をその根本から変革した。そして、「放送」、「新聞」、「出版」と言ったジャンルを問わず、変革出来ない所は容赦なく淘汰されてしまう。

この余波は、放送に就いて言えば家電製造業に及び、今後、企業破綻も有り触れた光景となるであろう。

家電製品の主たる商流である、「家電量販店」の多くも今後閉店が続出するに違いない。

そして、危惧するのは「メディア」、「製造業」、「流通」の淘汰は見えているのであるが、消えて行くものに取って代るものに就いて、今一つイメージが湧いて来ない事である。

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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