いちいちウロタエルな

矢澤 豊

自民、野田外交を追及へ=「会期末解散」目指し攻勢
時事通信 8月18日(土)
週明けの国会で、自民党は9月8日の会期末までに野田政権を衆院解散に追い込むため、攻勢を本格化させる。尖閣諸島への中国人活動家上陸事件や、李明博韓国大統領の竹島訪問などへの政府対応を取り上げ、政権を揺さぶる構えだ。終盤国会で野田佳彦首相は、赤字国債発行に不可欠な特例公債法案などの重要課題の処理に道筋を付けたい考えだが、展望は開けていない。
 自民党の谷垣禎一総裁は18日、名古屋市内で講演し、領土をめぐる一連の問題について「外交の基本路線がしっかりしていない。もはや民主党政権で立て直すのは不可能だ」と政府の対応を厳しく批判した。
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この国の政治家たちは、外患に際しては一致団結して事に当たるべきだという、国としての原則を忘れてしまったのだろうか。

外交上の騒動を、国内政局のネタにして、政権担当者を窮地に追いこめることにより、自らと自らの党派にとってより有利なことの運びにもっていこうという考えを「卑しい」とは思わないのだろうか。

「弱腰外交!」などと金切り声をあげる前に、そうした自分の「憂国」スタンスに「私心」を挟むことをしていないか、自省、自問することはしないのであろうか。

「この重大な時期にあってその任に非ず」という論調だが、領土・領海問題など昨日今日始まったことではなし、多分今後数世代にわたって尾を引いていく問題だろう。いまさらな悲壮感を煽らないでほしい。イギリスとスペインの間のジブラルタル領有問題など、かれこれ300年も争っているのだ。

これも平和ボケの一種なのだろう。

わざわざこの時期に、押っ取り刀で尖閣に上陸した政治家など、選挙活動の一環としか思えない。国益云々という議論の前に、自分のキャリアを優先している。

しかし一番失笑を買ったのはこの人だろう。

尖閣諸島上陸 鳩山氏「私が総理の時、こういう事件起きてない」

今回の竹島、尖閣、一連の騒動が起った後も、長期的な戦略の構図は全く変わっていない。こちらの議論に関しては、山口氏のそれにに私はほぼ同意するので、ここで再論はしない。

とにかく、野党自民党は、現時点における政権担当者である野田総理への支持を大筋において明確にし、国家としてのまとまりを内外に示した後、対応に関する各論において是々非々でやっていってほしい。この時期における大使交代が適切なのか。スワップ枠見直しを進めるべきなのかどうか。慰安婦問題における福島氏の責任を追求するのかどうか、などなど。「解散」を口にする前に、しなければならない仕事は山ほどある。

スキャンダルまみれで政権末期症状が顕著な隣国の大統領が、チープな人気のとりのために外交上のジャブを繰り出すたびに、総理をすげ替えなくてはならないような、情けない国にしないでほしい。