選挙が多すぎる

2012年09月02日 16:26

小幡さんの記事は、それ自体としては間違っていないが、私の記事への批判になっていません。政治家にとって選挙に当選することが至上命令になるのはどこの国でも同じで、ハイエクも私もそれを批判しているわけではない。専制君主が決めろといっているわけでもない。インセンティブ理論の言葉でいえば、選挙で生き残るというインセンティブが強すぎるといっているのです。


Holmstrom-Milgromなどの分析で知られているように、マルチタスクのエイジェンシー問題では、歩合制などでインセンティブを強めると、定量的に見えやすいセールスなどの仕事に努力が集中し、品質管理などの間接部門がおろそかになって商品の質が落ちることがあります。

日本の衆議院議員の平均在職日数は2.75年。参議院を含めると1.37年に1度も選挙があり、これは主要国でもっとも短い。小幡さんは、政治家の仕事は「複数の案があったときに、そのどれかに決めることであり、その決定を国民に納得させることである」というが、選挙区の冠婚葬祭に走り回っているようでは、そういう仕事もろくにできないでしょう。

選挙がすぐれた政策を出すインセンティブになっていればいいのですが、日本の場合は政党の人気投票になっているため、当選したあと議員が党派を転々と渡り歩き、政党の離合集散が激しい。今回は泥舟の民主党やみんなの党から維新の会に乗り換える議員が相次いでいますが、松野頼久氏のように維新の会とは明確に異なる政策を掲げている議員が維新の会に入るのは、有権者を愚弄するものです。これでは、選挙で政策を選ぶことができない。

政党を否定するつもりはないが、選挙がAKB48のような人気投票になったのではデモクラシーは機能しません。少なくとも政策のもとに政治家が集まる政治結社としての機能を果たさないと、今のようにグダグダの状態がいつまでも続くでしょう。これが島田さんも言っていることだと思います。抜本改革には憲法改正が必要ですが、私が以前の記事で提案したのは、衆参同日選挙を慣例にして選挙を減らしてはどうかということです。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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