消費増税の食い逃げを許してはいけない

2012年09月12日 10:20

今更ながらであるが野田政権の功績は大きい。消費増税を軌道に乗せる事で、細くて棘の道かも知れないが、少なくとも財政再建に至る可能性を国民に示した。

更に、消費増税が何故必要かを国民に粘り強く説得した結果、最早、政治の主題は「利益」の配分ではなく、「痛み」と「負担」の分担を国民に強いる事である事を判らしめた。戦後政治が分水嶺に差し掛かっている事を国民に啓蒙する事に成功した訳である。


選挙が何時になるのか? 野田政権の衣鉢を継承する政党が一体何処になるのか? 今一つはっきりしないのであるが、政治が何としても守らねばならないのは、野田政権が示した財政再建の道をしっかりと歩き続ける事であると思う。

その為に、次期政権が絶対に踏み外してはならないのは消費増税の「食い逃げ」を許容してしまう事である。これでは、折角の財政再建への気運が水泡に帰してしまう。

一昨日のアゴラ記事、消費増税に依る追加歳入は結局白蟻の餌になる?で説明した通り、このままで放置すれば消費増税に依る歳入増は官僚に食い散らかされて霧散してしまう。これでは、更なる増税に国民が納得する訳がない。

それでは、具体的にどうすれば良いのであろうか?

一丁目一番地は勿論「三党合意」への回帰である。消費増税を単独で実行しても債務問題の解決には至らず、歳出削減とセットで行う必要がある。歳出の比重が最も重いのは「社会保障」関連であり、それ故に、「社会保障と税の一体改革」を進める事を三党で合意した筈である。

確かに、「社会保障」の中身は多岐に渡り、どの様にして歳出を削減し、国民が負担する事になる「痛み」をどう伝えるか等、拙速ではなく時間をかけ議論する必要がある。その議論の「場」としての「国民会議」の設定ではなかったのか?

従って、本来、この時期に政治が議論すべきは、違憲状態の衆議院の定数是正を含む選挙改革法案と赤字国債法案、並びに、この「国民会議」を何時、どの様にして設定するかの筈である

しかしながら、どうもこの「国民会議」が政治の場から忘れ去られ、結果、消費増税の食い逃げに終わるのでは? と危惧するのである。

このA級戦犯は自民党の谷垣総裁であろう。何をとち狂ったか、通常国会の幕切れに堪え性を喪失、問責決議案を提出してしまった。これに依り、自身がせっかく纏めた三党合意を政治の表舞台から追いやってしまったのである。

三党合意が無くなれば、自動的に本来社会保障削減を議論する「場」である、「国民会議」の設立も霧散する事になる。その結果、消費増税に依る歳入増は、抜け目のない官僚がしっかりと御馳走に預かる事となる。

消費増税を負担する国民は「食い逃げ」される訳である。

政治に「理性」と「賢明さ」が求められている。

山口巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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