社会の問題は想像力で解決する --- 大庭 信博

2013年02月04日 13:14

今年、大きな話題のひとつが中国からの大気汚染である。緊急に解決しなければならない大問題であることに違いないが、実際の解決には長い年月を要するのが現実だ。

しかし、この問題に関しては「かなり防げたはず」というのが私の意見である。実は私が中国からの大気汚染の問題を強く認識したのは20年前であった。私は子供の頃から重度のぜん息とアトピーを抱えているのだが、成長に伴っていったんはほぼ完治の状態にまで漕ぎ着けたにもかかわらず、25年ほど前から急に悪化に転じたのである。


冬場に悪化することから当初は花粉を疑った。しかしよーく観察してみると、花粉の飛散レベルと悪化の度合いは必ずしも一致しておらず、むしろ偏西風が強まった後に悪化することがわかった。

ここから黄砂を疑った。ありとあらゆるものにアレルギーを持つ体ゆえ、花粉は無関係ではないと考えられるが、自分自身を使ったテストや情報収集から、明らかに花粉以外の何かであると思われた。

だが、その原因が単純に黄砂というのも変だ。たかが砂じゃないか。砂を吸い込んだだけでここまで悪化するとは考えられない。

さらに数年様々な情報を収集しそれらを総合して考えると、黄砂に何らかの物質が付着し、それが悪さをしているか、もしくは黄砂とは関係なく大気中に何かが含まれているのではないか?という結論に至る。これが20年ほど前のことだ。

私は登山の趣味もあるのだが、年々視程(遠くが見える距離)もどんどん下がってきた。さらに10年ほど前には車にこびりつく黄砂が黒くなり、粘着性をもつようになってきた。もはや決定的である。だが世間はここまでひどくなっても全く気がついていない。

なんと世間の関心はまるで違う方向に向かっていた。花粉症ブームである。あらゆる番組やニュースで花粉症が取り上げられ、それに便乗した商業が盛んになり、冬場のアレルギーは花粉が原因と「決定づけられていた」のである。

この流れには大いに疑問を感じた。実際、花粉症と診断されている人のかなりの割合が、実は大気汚染によるものではないか、もしくは花粉と大気汚染の複合的な影響ではないかと考えられた。中国からの大気汚染の可能性が高く、今後大変な環境汚染の問題を日本が抱える可能性がある、という内容を熱弁したこともあったが、何しろ20年も前の話だ。ほぼ全ての人が「オカルトっぽい話」としてしか認識してもらえず残念な思いをしたことを覚えている。

お気づきの方もおられると思うが、ここまでの話、すべてにおいて何かを立証することなく、すべて私の思い込み、もしくは想像によって成り立っている。つまり大気汚染によるアレルギーの科学的な根拠などほとんどない。

しかしそれは現実となった。「ほれ見ろ、俺様の言ってたことがあたったぞ」という自慢げな気分がゼロというわけではない。だが皆さんに知っていただきたい重要なことは、素人でもこのような大変な事態を20年も前に予測(想像)することができたということである。

思い込みというのは大変危険なものである。思い込みは誤った方向へ向かえば差別や偏見を簡単に生み出してしまうという危険極まりないものである。だがしかし情報を十分に収集し、多方向から内容を吟味した「想像」または「直感」というものは、例え科学的な根拠が乏しくても極めて重要な情報に成り得るということだ。もちろんその後に科学的な研究と証明を行う必要はある。

社会が変化するには何十年という膨大な時間を必要とする。だからこそ何かが決定的に判明してから取り組むのと、問題を予測してあらかじめ取り組むのとでは比較にならないほどの差が生まれるのである。このような予測を含めた「想像力」こそが社会を致命的に間違った方向へ向かわせないための、重要な要素となる。

現代人に決定的に足りないのはこの「想像力」ではないだろうか。もちろん言い方は「予測力」と言っても良いし「直感力」と言っても良い。情報を多方向から集めて自分なりに分析し、それらを周囲の流れに流されることなく客観的に統合して、ある方向性をもった結論や疑問を作り出す能力に欠けてはいないだろうか。メディアに流され続けるだけの「お客さん」になってしまっていないだろうか。

自分たちの社会は自分たちで考える、そして将来を想像する。この想像力を皆が持てば、社会の問題の多くは、素早く確実に処理され、よりよい社会を作ることが容易になるはずである。

大庭 信博
岡山県在住

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