意識の高い系抗議に負けるな

2013年03月08日 11:30

少し、タイミングを逸してしまった感があるのですが、最近、起きた「意識の高い系抗議」について、抗議したいと思います。


■天王寺区のデザイナー

大阪市の天王寺区でデザイナーのボランティアを募集したところ、「意識の高い系抗議」が殺到することになり、中止されることになったようです。

しかし、この募集はそんなに批判されるようなことでしょうか。

天王寺区のチラシ

天王寺区のサイト

これを見て、もし、ヘタウマを狙ったデザイナーが、報酬を貰ってやった仕事だとしたら、そんなデザイナーに金を払うことを大阪市民として許すことはできません。
もちろん、プロのデザイナーがやったわけではなく、現実は最初からデザインの予算なんてないのです。職員が他の仕事の合間にチラシを作り、Webのバナー(サイト自体は大阪市が統括している)を作っているのが実情です。

新しく就任した水谷天王寺区長は、予算がないのですから職員を責めることもできず、チラシやポスターを見る度に内心忸怩たるものがあったでしょう。そんな中、新区長として住民サービスのために「デザイン性を上げたい」と考えたとき一体何ができるかと考えれば、「ボランティアを募ることは非常に良い案であった」と私は考えます。

学生として参加することももちろん良いのですが、仮にプロとして参加するならば、将来予算化されるように費用対効果を含めた提案をしながら、(区長・担当者が)RFP(提案依頼書)を書く手伝いを(も)します。

システム開発の世界では、同様のことを大手コンサル会社などが無償でやることも多いです。ですから、私自身もシステム開発というデザイナーに近い仕事をしていますけれど、この募集について大抗議大会になっているのを見て、何が問題なのかさっぱり分かりませんでした。

もともと、予算がないのですから、デザイナーを馬鹿にしている訳でも、搾取しようとしているわけでもありません。

逆に、「抗議があったから、元通り職員が作ることにしよう」となることが、最もプロのデザイナーを馬鹿にしていることにはならないか、抗議した「意識の高い系デザイナー達」は、もう一度、天王寺区のチラシを見て考えてみたらどうかと思います。

■武雄市図書館

武雄市では、図書館の運営を CCC(カルチャーコンビニエンスクラブ)に委託し、更に、スターバックスを誘致し、図書館の利便性を高めようとしています。
CCCが発行するTポイントカードで図書館が利用でき、図書館の利用に対してもポイントも付与されるらしいです。

これに対して、「図書館の自由に関する宣言」などを持ち出し反対する「意識の高い系の抗議」が噴出することになりました。CCCが貸出履歴を蓄積することが、その宣言に抵触するのが問題とのこと。

何とも馬鹿らしい!

Tポイントカードの利用を強制されるならともかく、旧来の図書館カードを選べるなら何の問題もないでしょう。ポイントが欲しいと思う人はTポイントカードを使うでしょうし、「貸出履歴を獲られるのが嫌だ」と思う人は、旧来の図書館カードを選べば済むことです。

図書館の自由に関する宣言は、「検閲や思想善導を防ぐ」というのが本来の趣旨です。民間企業がリコメンドに利用するなんてことは、当然想定されていません。想定されていないのに、法的拘束力もないそんなカビの生えたものを持ち出して、その文言に合っているかどうかなんて、考えても意味がありません。

CCCが入ることで、武雄市としては、コストを下げつつ利便性を上げることができる訳ですが、カビの生えた宣言を守って図書館の利便性が落ちたら、何のための「図書館の自由に関する宣言」でしょう。

趣旨に戻って考えれば、検閲や思想善導などに繋がる余地もなく、利便性が向上し、嫌な人は避けられるのですから、議論の必要すらないのでは?

ただし、私は武雄市の現状を知らないので何とも言えませんが、「武雄市の小規模書店、CDショップが成り立たなくなる」という可能性の方が心配です。意識の高い系の抗議はどうでも良いけれど、そちらの抗議が来れば、十分に話し合って妥協点を見いだすべきとは思います。

■ケチを付けようと思えば何でも付けられる

他には、福岡では「カワイイ区」が、僅か数名の抗議で廃止が避けられない状況になりました。

しかし、「『カワイイ区』は差別」と声高に言う方が差別でしょう。

ゼロベクレルを求めたり、瓦礫の受入に反対するのも、憲法九条を護りたいというのも、皮肉なことに運動をすればするほど、本来の「健康や平和を守りたい」という趣旨から離れ、逆の結果になってしまいます。

護憲などは、既に「意識の高い」とは見られなくなりつつあるんじゃないかとも思えますが、これらの一見「意識の高い」様に見える抗議というのは、やっている人達のカタルシスにはなっても、現実社会の足を引っ張るだけで何の価値もありません。

それでも、政府や自治体はこのような抗議に実に弱い。
「解雇規制」や「派遣規制」なども似た構造ですが、政府や自治体には、本当に守るべきものを見据えてこのような抗議に負けないで欲しいと思います。

上げた例の中では、唯一、武雄市が踏ん張っているので応援したい。

株式会社ジーワンシステム
生島 勘富
mail:info@g1sys.co.jp
Twitter:@kantomi

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