アベノミクスはどうなるのか?--ノア・スミス

2013年03月18日 16:08

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ノア・スミス 経済学者
3月9日掲載 (英語原文

【アゴラ編集部】ノア・スミス氏は3月18日午後9時から、アゴラチャンネルに出演し、池田信夫アゴラ研究所所長とリフレ政策をめぐり、討論をします。(告知

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【以下本文】

昨年12月に安倍晋三氏は、日本銀行がある程度のコストを支払う事でリフレを起こさせること、そして経済に刺激を与える財政支出を行うこと、(おそらく)TPPに参加すること、これら3点を訴えて選挙で権力を獲得した。これらの中でもっとも印象的なものは最初の「リフレ」だ。


私と議論したマネタリズムを支持する人のうち、多くが「アベノミクス」が日本経済を活性化させるだろうと大きな期待を表明した。マット・イグレシアス氏とか、ジョー・ビーゼンタール氏などのようなマネタリストとされる学者、さらには、私が寄稿するアトランティック誌の仲間たちなど、多くの人に共通するものになっている。(「仲間」とはフルタイムではそこで働いていない、私には言えないかもしれないが…)。

「市場派マネタリスト」はより慎重であった。結局のところ、これらの人々にとって、NGDP(名目GDP)ターゲティング以外は本当のマネタリズムではないのだろう。スコット・サムナー氏は、予想を重視する金融政策がゼロ金利の制約下では効果的であることを証明するものとして、最近の日本の株式市場の反発を引用した。アベノミクス支援の時流に乗ることに熱心ではなかった人も、安倍氏の中央銀行の独立性を壊しかねない行為と、デフレから脱却しようとする取り組みについて、金融政策の重要な実験を構成するであろうと注目している。

それでは、アベノミクスはどのような姿になるのか。

確かにプラス方向に2つの顕著な効果があった。第1は、前述のように株式市場の反転だ。これが過去3ヶ月間のTopixだ。(アメリカのS&Pの動きに似ている)

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そして次が、同期間の円・ドル相場(値が大きいほど円安を意味する)だ。

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グラフで見ることができるように、安倍氏の首相への選出によって円は急速に下落して、株式市場は急反発した(理論上は、日本の輸出が拡大するはずだからだ)。良いニュースだ。安倍氏の選出によって、日本はデフレから立ち直るように見える。

しかし日本のインフレ期待は、TIPS(米国財務省インフレ連動債)の日本版の政府短期証券で測定されるものだが、1%程度にまで上昇している。だから多分、まもなく日本のデフレ状態からの脱却を目にすることになるだろう。

日本の経常収支については、円安は輸入品目のコストを上昇させており、赤字が記録されはじめている。輸出の増大がそれを埋め合わせるかどうかについては、私は輸出増が貿易赤字を縮小させると予想している。日本企業による設備投資額は依然として12月には落ちていた。この点について評価するには、私たちは直近データの公表を待たなければならない。

まとめれば、安倍首相は日本国民の予想を転換させたようだ。多くの国外投資家に、日本は今後たくさんのお金を刷ると思わせ、これが円の下落を引き起こした。円の下落予想は、国外投資家に日本企業の利益が拡大すると予想させており、日本株の反発の背景には国外投資家の動きがあるという。彼は、日本企業の利益を後押しすることを多くの外国人を説得したように見える。そして安倍氏は、ある程度の日本人に、わずかなインフレへ転換するとの予想を与えているようだ。しかし、そのような予想は、まだ本当のインフレへと転換するものではないのだ。

やがて本当のテストがやってくる。大きな変化が日本にやって来ていると信じる国外投資家を、錯覚させる事は容易であろう。しかしわずかなインフレは日本経済をそれほどは支えないであろう。1%程度へのインフレ予想が産まれたことは、喜ばしい変化かもしれない。しかし、この1%とはかなり低いものだ。

しかし、私の評価は初期段階のものだ。安倍氏は、日本の有権者に楽観主義への刺激、そして経済の変革への希望を生み出している。これはやがて来る重要な参議院選挙で、自民党が勝利するために必要なものだ。多数の議席の確保は、彼が本当に心を奪われているらしい日本の憲法改正にもつながるものだ。

結局のところ、安倍氏の保守的な本能、そして日本の財務省の財政についての保守的な本能(この役所は日本において間違いなく首相よりも強力だとされている)は、自民党の支持層に多いとされる高齢有権者が苦労して稼いだ貯蓄の価値をインフレが破壊してしまうという懸念よりも、はるかに力を持つということだろう。その時点で、抜本的な財政改革の話が消え去ってしまうと、円と日本の株式市場の最近の動きを支えた風が止まってしまうかもしれない。

もちろん、これは悲観的なシナリオだ。しかし日本の消費者のデフレ予想のように、日本の自民党の影響度について、私の考えは強く固定されてしまっている。それを取り除くには、けっこう大変かもしれない。

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