日本食研はなぜ「社内ジャンボ宝くじ」で社員に100万円渡すのか? --- 内藤 忍

2013年04月03日 12:45

日本食研という会社があります。焼き肉のたれのCM「焼き肉焼いても、家焼くな」という、キャッチコピーで知られている調味料の会社です。日経ビジネス(2013.4.1.)の編集長インタビューで、社長の大沢哲也氏が登場しています。

この会社、CMもユニークですが、経営方法もユニークです。例えば、80億円かけて建設された宮殿風の豪華な工場、本社内にある「社内結婚神社」、社内結婚カップルに毎月支給される「社内結婚ハッピー手当」(夫婦喧嘩するともらえないらしい(笑))、部下が配属先を決める「吠える人事制度」。

もっと驚いたのは、「社内ジャンボ宝くじ」。会社が費用を毎年1500万円を使い、1等賞金100万円を出していること。


ベンチャー企業かと思えば、創業42年で売上830億円、経常利益54億円、しかも無借金という堅実な経営を続け、上場する気が無いという、非上場企業です。なぜ、このような一風変わったことばかりして、業績を伸ばすことができるのでしょうか?

ユニークな制度の裏に共通しているのは、「社員が主役」という社長の考え方があるようです。「主役」になってもらうことで、自律的に働くマインドが醸成され、モチベーションを高めることが出来るという訳です。

自分で独立している人と、会社で従業員として働いている人の大きな違いは、仕事を「自分事」として捉えているか「他人事」と捉えているかの違いです。会社員でも「自分事」として仕事に取り組んでいる人も、いると思います。しかし、それはモチベーションの高い成長期の会社であったり、特別に意識の高い人だったり、例外なのです。

だから「他人事」をできるだけ「自分事」にしてもらう。そのための仕組みや工夫が必要なのです。給料や人事評価で社員を管理コントロールするのも1つですが、それでは本質的な仕事へのコミットメントにはつながりません。上司の顔色ばかり見ている「社内ひらめ」(上しか見ない)が増えるばかりです。

日本食研の経営のもう1つの特徴は、会社を家族のようなものとして捉えていることです。これは、世の中の流れに逆行しているようにも見えます。社内結婚を奨励し、社員を利益関係でつなげるのではなく、ウェットな人間関係でつなげていく。かつて賞賛された「日本的経営」です。

しかし、地域社会に教会を中心としたコミュニティが存在する欧米と異なり、地域のコミュニティが成り立ちにくい日本では、リアルな場にあるコミュニティとして会社の存在感は大きなものです。帰属意識を高めてもらうことは、長期的なコミットメントを社員からしてもらえるという点でも会社にとってメリットがあります。

会社の経営方法には絶対のルールはありません。しかし、うまくいっている会社に共通しているのは、社員が持っている能力を無駄なく会社の経営資源として活用していく「仕組み」です。

社員を主役にして、家族的経営で求心力を高めていく。日本食研はCMだけ見ると、奇妙な会社に見えますが、実は極めて真っ当で堅実な会社だということがわかりました。残念ながら、非上場なので投資することはできません。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2013年4月3日の記事を転載させていただきました。
オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。


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