放送とネットの融合サロン --- 中村 伊知哉

2013年04月04日 16:47

融合サロンという怪しい集いが総務省で始まりました。片山さつき政務官が世話役で、ぼくも企画づくりに投入されています。先日開かれた第一回のゲストは、ドワンゴ川上量生会長、GREE田中良和社長、DeNA春田真会長、YouTube水野有平日本代表。豪勢なメンツです。総務省からは柴山副大臣、橘政務官もご出席。レギュラー陣として、ぼくのほかに青山学院の内山隆教授、CANVASの石戸奈々子理事長。


テーマは海外展開。田中さん・春田さんに海外戦略を伺い、その競争力に期待を抱きつつも、韓国がYouTubeを使って攻勢をかける実態を水野さんから聞いて、ぞわっとしました。これに対し、ニコ動がIDアリ+有料で成功した世界でも希有なサイトだという川上さんは、日本のネットユーザだけがクリエイティブだという持論を展開。日本のニートは豊かで、24時間ヒマなネットユーザ100万人が創造力を発揮している、という見方。そうですね、ユーザの創造力と発信力が日本最大の資産だとぼくも思います。

副大臣や政務官とゲストとの間で生々しいやりとりがあったのですが、ひとまずナイショ。ただ、ぼくが触れたこと+時間がなくて言い切れなかったこと、をメモしておきます。

放送とネットの融合は、日本は動きが鈍かった。6年前、ぼくが「融合研究所」を立ち上げた時には、放送業界からそのネーミングやめい、と言われたものです。でも、この1~2年でがらりと変わりました。地デジが整備され、いわゆる融合法制も整備され、スマートテレビも注目を集め、次のステップに放送界自らが進んでいます。広告の奪い合いではなく、タブレットなどでの新市場の開拓がポイントです。

そこで、ソーシャル業界との関わりで言えば、攻めと守りのバランスが問題です。海外への進出が期待される成長部門と目される一方、国内的には健全化が求められています。ゲストのみなさんは、霞ヶ関には叱られに来るばかりであります。消費者庁など政府のプレッシャーは強い。もちろん業界は精一杯、健全化に努めます。努めますが、同時に、政府には成長部門としてのプレイアップ、フォローの風もお願いしたい。今はアンバランスです。

まず、攻め。知財本部でも、コンテンツを売るだけでなく、ライブやグッズなどリアルなビジネスと結合して海外に行く手段が論議されています。放送とネットの結合は総務省の力を頼らずとも、業界での対応ができますが、より広い多くの業界との連携は、政府がプラットフォームとなって仲立ちをしてもらえるとありがたい。

そして、守り。内外のイコールフッティングをお願いしたい。ソーシャルゲームでは自主規制を導入していますが、これは国内企業に閉じられていて、アップルやフェイスブックは参加していません。海外のゲームへのチェックが効かないんです。日本企業だけがマジメに対応し、コストアップとなると同時に、ユーザは海外に持って行かれる懸念があります。

海外政府への働きかけを含む規制スキーム、あるいは自主規制プラットフォームへの誘いなどは、国内業界では限界があります。政府に一肌脱いでもらいたい。

よろしくどうぞ。


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2013年4月4日の記事を転載させていただきました。
オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。

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