橋下会見、海外の反響は初報の10分の1

2013年05月29日 23:51

橋下徹氏が一連の慰安婦発言問題に関して、外国人特派員協会で記者会見を行った。主に海外メディア向けに行った会見であることを考えると、海外メディアの反応や報道、その反響を確認することがまずもって重要だろう。結果を一言で言うと、海外では既にあまり関心がなく、報道はされたもののその反響は弱く、ほとんどスルーされたいっても過言ではない

まず英文メディアを見てみよう。最初の報道で「Japanese mayor: Wartime sex slaves were necessary」という記事を世界中に配信したAP通信。この時は各媒体に掲載され、なかでもYahoo!では2858シェア、7346ものコメントが寄せられている(5月29日現在)。今回の報道「Japanese mayor apologizes for comment on US troops」もYahoo!に掲載されたが、2日経った5月29日現在で104シェア、672コメントだ。日本のニュースとしては少ないわけではないが、最初の報道と比べると反響が一桁違う


内容としては、慰安婦の英訳は「front-line brothels」(前線での売春宿)と表現し、前回のように「sexual slavery」(性奴隷)は橋下氏の発言の引用の中では避けられている。とはいえ、以下の英文にあるように、「歴史家は、主に朝鮮半島と中国出身の20万人にも及ぶ女性が、軍の売春宿で日本人兵士のために強制的に性を提供させられたと述べている。第2次大戦中、売春宿を持つ軍は他にもあったが、日本はそのような広範囲にわたる組織的な性奴隷制によって非難されている唯一の国だ。」と結論づけられている。国家としての組織的な拉致、強制性については事実であったか議論すべきだとの橋下氏の提案は、ほとんど相手にされていない。

Historians say up to 200,000 women, mainly from the Korean Peninsula and China, were forced to provide sex for Japanese soldiers in military brothels. While some other World War II armies had military brothels, Japan is the only country accused of such widespread, organized sexual slavery.

他にも同じAP記事がHaffington Post米国版に掲載されていたが、コメント数193とこちらも初報のコメント数1466と比べると圧倒的に少ない。New York Timesの記事「Japanese Politician Reframes Comments on Sex Slavery」もさほど閲覧されているようには見えない(world欄のランキング上位ではない)。米国務省の報道部長も、橋下氏の発言撤回と謝罪に関して、「一地方の当局者」の発言にこれ以上コメントしないとの意向を示したそうだ。(共同

もう一つ、韓国メディアについても見てみたい。こちらは関心が高そうだが、実はそうでもない。朝鮮日報日本語版を見てみると、「慰安婦:米国だけに謝罪した橋下氏」という記事が一時期、閲覧数1位になっていた。しかし、これは日本人が読む日本語サイトであって、韓国語サイトの同記事では閲覧数ランクではほぼ圏外、9シェアに24コメントとほとんど反響がない。韓国でも既に関心が薄れており、新しい内容などないといった反応だ。

今回の特派員協会での記者会見や、英文も用意した見解発表は、これまでのツイートと比べるとましになったといえよう。とはいえ、一度失言したものを取り返すことは容易ではないし、自分の主張を提案すれば海外で取り上げてもらえるというものでもない。海外への情報発信やメディア戦略、国連外交や外国政府へのロビイングは、橋下氏のみならず日本人がみな苦手とするところだ。日本人が今回の騒動で学ぶべき教訓、議論すべき点は、むしろそこではないだろうか。

学びのエバンジェリスト
本山勝寛
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@k_motoyama
「学びの革命」をテーマに著作多数。国内外で社会変革を手掛けるアジア最大級のNGO日本財団で国際協力に従事、世界中を駆け回っている。ハーバード教育大学院国際教育政策専攻修士過程修了、東京大学工学部システム創成学科卒。1男1女のイクメン父として、独自の子育て論も展開。著書『16倍速勉強法』『16倍速仕事術』(光文社)、『マンガ勉強法』(ソフトバンク)、『YouTube英語勉強法』(サンマーク出版)、『お金がなくても東大合格、英語がダメでもハーバード留学、僕の独学戦記』(ダイヤモンド社)など。

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