露骨な幼稚園の経営救済策になり下がった自民党の「幼児教育無償化」(下) --- 鈴木 亘

2013年06月03日 06:00

さて、「族議員による業界利権のための既得権政治」という古い自民党そのものと言うべき露骨な利益誘導策が、このように簡単に「世に迷い出た」背景には、明らかに、次の参院選挙で自民党が大勝するという見込みがあるのだろう。私は規制改革会議の保育チームのメンバーとして、成長戦略の一部の政策立案過程を内側からみさせてもらっているが、安倍政権の官邸は、族議員達の露骨な要求を押えてかなり良くやってきた。実際には、成長戦略の大部分は、大胆な規制緩和策などほとんどなく、お金を配るという大人の手法をとっている部分も多いが、業界への露骨な利益誘導という色彩を帯びぬようにかなり懸命に努力してきた。


それは次の参院選挙が一種の牽制力になっていたからである。古い自民党を見せては戦えないと思っていたのである。しかし、競争相手となる第三極の政党が、オウンゴールを連発する楽勝試合では、官邸の一軍プレーヤーにかわって、古い自民党の二軍プレーヤーが出てくるのは当然である。参院選で自民党が大勝すれば、こうした族議員政治がますます跋扈するようになることは必至であろう。

官邸サイドは既に幼児教育無償化の外堀を埋められた感があるが、もし、選挙前に古い自民党の「馬脚」を現したくないのであれば、幼稚園団体だけに対する露骨な利益誘導ではなく、もう少し、大義名分のある形に変えてはどうか。例えば、先に増えた貧困家庭に対する幼児教育費用無償化であれば、経済学による立派な成果も踏まえており、他の先進国にキャッチアップする斬新な策と映る。先の子どもの貧困対策法の具体策ともなるし、成長戦略としても整合的である。

あるいは、待機児童対策になるように、朝夕の預かり保育をきちんと整備した幼稚園のみに保育料の軽減策を図るというのも一案である。これは、先の待機児童ゼロの方針にも資するものとなる。いずれにせよ、3年半の野党時代を経て、自民党が少しでも変わったのか、それとも相変わらずの自民党なのか、この「幼稚園のみの幼児教育無償化」の扱い次第によって、国民は良くわかることになる。小さな施策であるが、これは、自民党政治のリトマス試験紙である。

昨日の(上)もお読みください。


編集部より:この記事は「学習院大学教授・鈴木亘のブログ(社会保障改革の経済学)」2013年6月2日のブログより転載させていただきました。快く転載を許可してくださった鈴木氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は学習院大学教授・鈴木亘のブログ(社会保障改革の経済学)をご覧ください。

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