DeNA南場さんの「不格好経営」と板倉雄一郎さんの「社長失格」 --- 内藤 忍

2013年06月14日 09:43

DeNAの創業者である南場智子さんの書いた『不格好経営』を読みました。マッキンゼーのパートナーを辞めて、自分で創業したDeNAというベンチャーが、苦悩しながら大きく育っていくまでのリアルな話が赤裸々に綴られています。


文章はさすがに面白いです。話が脱線したり、本当かなと思うような不思議な競争をしたり、経営者らしからぬ茶目っ気が、そこかしこに感じられ、南場さんのお人柄が感じられます。私もマネックスで創業当時、ディナーをご一緒したことがあります。お互いに赤字にもがいていた時でしたが、南場さんはじめDeNAのメンバーの明るさが印象に残っています。

この本の中にも出てきますが、読みながら思い出したのは、板倉雄一郎さんの『社長失格』でした。15年前に書かれた本ですが、未だに起業家の著書としては史上最高に面白いと思っています。

2つの書籍を並べてみると、なぜか突然自分の頭の中に、楽天の三木谷さんと、元ライブドアの堀江貴文さんが浮かんできました。
三木谷さんと堀江さんを分けたものは何だったのか?勝手な想像ですが、周りの人を巻き込めるかという「巻き込み力」にあると考えます。単に、仲間を増やしていくだけではなく、自分の価値観を会社の理想と完全にフィットさせ、その理想に向けて社員全員を同じベクトルで引っ張っていく才能と努力です。

「同じ目標に向かって全力を尽くし、達成したときのこの喜びと高揚感をDeNAの経営の中枢に据えよう」(46ページ)というトップの考え方が社内に浸透し、ビッダーズの失敗からモバイルでの成功までの結果を生み出したのだと思いました。

天才型の経営者とは、自分で何でもやってしまう傾向があります。能力がありすぎるから、相手がナゼ出来ないのかが理解できなかったりするのです。そして、コミュニケーションも苦手なことが多いのです。根は悪い人ではないのに、余計な一言を言ってしまったり、外見や風貌で損をしてしまったり、「世渡り下手」なのです。

成功している経営者は、自分の力で全部やるのではなく、自分の持っていない能力を持った人を探し出し、その人に任せるという腹のくくりができています。ベクトルを合わせ、全面的な信頼を置くことで、相手との間にある種の高揚感のある関係が生まれ、120%の力を発揮する人が出てくるのです。

人間の潜在能力を見つけだし、それを極限まで引き出す。社員にそんなことができれば、組織は勝手に動き出すのです。

南場さんの人との出会いは「運」だと思うかもしれませんが、私は努力と必然だと思っています。事業に惚れるのではなく、人の才能やパッション、そしてピュアな気持ちに惚れて、その人たちを同じ方向に走らせてしまう。

人を動かす力の有無というのは、経営に圧倒的な影響をもたらす。経営とは「何をやるか」ではなく「誰とやるか」が最初に来る。南場さんは、意識的にせよ、無意識にせよ、それがわかっていたのだと思います。

南場さんが三木谷さんだとすれば、板倉さんは堀江さん。天才にもどうやら2つのタイプがある。それが、今回「不格好経営」を読んで、脳裏に最後まで残ったことでした。

2冊の本に共通しているのは、どちらも、一気に読んでしまったこと。リアルなベンチャーの話はドライブ感があってワクワクします。まとめて読んでみることをおススメします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2013年6月14日の記事を転載させていただきました。
オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。


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