年収を上げるには、まず「いい人」になることから始める --- 内藤 忍

アゴラ

神戸大学などの調査によると、 「嘘をつかない」「人に親切にする」「ルールを守る」「勉強をする」という4つのしつけを子供の時に受けた人は、所得や学歴が高くなる傾向があるそうです。

約1万6千人を対象とした調査だそうですが、4つ全てをしつけとして受けた人の平均所得は479.6万円。一方の、4つとも受けていない人の平均所得は393.4万円で約86万円の差。また、大学や大学院を修了した人の割合は、全て受けた人で55%、受けていない人は46.5%となったそうです。

これは何を意味しているのでしょうか。


調査結果については、家庭環境の違いや他の要因のよる影響がないかを確認する必要がありますが、稼ぎ力を伸ばすには、「いい人戦略」を取って、「出来る人」になり相手に価値を提供することが必須であることを示しているのではないかと思います。

年収に影響を与えた4つの要素のうち、「嘘をつかない」「人に親切にする」「ルールを守る」というのは、社会の基本的なルールです。相手から見て、嘘をつかない正直な人や、親切に世話を焼いてくれる人や、社会の決まりごとをきちんと守る人は「いい人」です。このような人とは、誰しも付き合いたいと思うでしょうから、人が集まってきますし、仕事も誠実にやってもらえると安心できます。

世の中の仕組みが複雑になり、コミュニケーションの方法が多様化してくると、誰を信用して誰を頼りにしたら良いかわからなくなってきます。そんなときのシンプルな判断基準が「いい人」なのだと思うのです。

そして、4つ目の要素の「勉強をする」は、「出来る人」になることです。知識や経験を身に付け、他の人にはない価値を提供する原動力になります。

しかしこの「いい人」と「出来る人」の両方を満たす人というのはなかなかいないものです。その時にどちらを取るかと言われれば、私は「いい人」だと思うのです。その理由は、「いい人」の方がサステイナビリティがあるからです。

「できる人」の定義は時代と共に変わっていきます。かつて価値を持っていた仕事が技術進歩や社会の変化によって陳腐化して価値を失っていく。変化の激しい時代になればなるほどその傾向は強まります。今できる人と言われていても、世の中の変化に対応できなければ、気が付かないうちに、普通の人になってしまうのです。

でも「いい人」は違います。「嘘をつかない」「人に親切にする」「ルールを守る」といった基本行動が将来陳腐化して価値がなくなることはありません。これらはいつの時代にもずっと人間の尊敬されるための基本的な価値として認められると思うのです。

それに、4つの要素のうち、3つは「いい人」、1つは「出来る人」。「いい人」の方が重要ということを示しているのではないかと思います。

「出来る人」になるのは誰でもできることではありません。でも「いい人」になることは誰でも努力すれば可能です。

だから今日からまず「いい人」になりましょう! 私も、日々精進いたします。

編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2013年9月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。