それでもクールか? KMD/第1回・稲田大臣・堀ホリプロ社長

2013年10月31日 08:50

「クールジャパン」というキャッチフレーズが社会に広がります。アニメ、マンガ、ゴスロリなどのファッション、ゲームなど、日本の強みであるソフト文化を世界に向けて発信して、産業として育てる一方で、日本の存在感を増そうという試みです。

その「仕掛人」の一人である中村伊知哉さんが提供する映像番組「それでもクールか?」。その放送紹介記事を読者の皆様に提供します。

中村さんは、慶応義塾大学メディアデザイン研究科(KMD)の教授であり、政府、民間のために「クールジャパン」のアイデアをさまざまな場で提供しています。中村さんは、KMDの学生の皆さんと共に、今後、この番組を月1回のペースで放送します。

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第一回は「総論」として、稲田朋美・クールジャパン戦略担当大臣、民間から堀義貴・ホリプロ社長が登場し、モデレーターの中村教授と語り合いました。アゴラはこの番組をサポートしていきます。(アゴラ編集部)

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(以下本文)

東京五輪、ガンダムの聖火リレーはクールか!?

「もっと海外展開のサポートをすべき」「民間の邪魔をするな」など、賛否が割れる政府のクールジャパン政策。東京五輪をきっかけに活性化するのだろうか。今回、私たちが行った討論企画では「ガンダムが聖火リレーをする」とか「初音ミクがセンターで踊ったっていいじゃないか」(堀義貴ホリプロ社長)など、日本のポップカルチャーを前面に押し出すアイデアが出た。五輪決定を機に「クールジャパン政策」を改めて考え直す時期に来ている。
(慶應義塾大学メディアデザイン研究科 板谷俊成)

このたび、国のクールジャパン政策について議論するニコニコ生放送の番組「それでもクールか!?」を慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の学生が中心となって企画。10月11日に放送を開始した。月1回ペースの放送を予定している。初回は司会の中村伊知哉慶大教授に加え、政府から稲田朋美クールジャパン戦略担当大臣、民間から堀社長が出演した。

(写真:放送中の様子)

五輪では日本の伝統芸能が披露されることは容易に想像できる。ではポップカルチャーはどういう役割を果たせばいいのか。堀社長が意見を述べた。

「開会式をやる時にゴスロリファッションは入っていいのか悪いのかっていう所からスタートしてしまうとできなくなっちゃうんですよ。そうすると日本のお祭りみたいになっちゃいます。世界がびっくりすることをやるべきだ」。

そこで出たのがガンダムに聖火リレーをさせたり、初音ミクに踊らせたりするアイデアだ。もっと自由に考えてもよさそうである。日本オリンピック委員会が開会式に登場してほしい歌手に関するアンケートを行い、サザンオールスターズが1位になったという結果を発表されている。アニメやゲームキャラクターなどで人気投票をやっても盛り上がるのではないだろうか。

ただクールジャパンをめぐる批判で多く見受けられるのは、自ら「クール」と称することに対する批判だ。これについて稲田大臣はこう述べる。

「自分でクールって言ってしまったら終わりで、、みんなからクールって思われるようにその種を探していきたいなと思います」

東京五輪のアイデアに関しても、発想や視野が内向きになってしまえば、自称「クール」になりかねない。外からの目線を受け止めて、新しい発想を打ち出していくことが必要なのだろう。

以下、番組の主なやりとりについて紹介していく。

外国人が感じるクールと日本人が感じるクールは異なる

日本は果たしてクールなのか。稲田大臣は、日本人のクールと外国人のクールは異なることを指摘し、例として鬼押し出しの自動販売機を挙げた。浅間山の鬼押し出しを訪れた外国人が、固まった溶岩が連ねる中に自動販売機があり、皆そこで飲み物を買って飲んでいるのを見て、クールだと感じたという逸話である。

私たちからすると、このような光景は子供の頃から見慣れており、何も感じないだろうが、外国人からするととても珍しい光景だそうだ。

大臣のゴスロリ衣装「ママがクレイジー」

話題に上がったのは、先月パリにて行われたTokyo Crazy Kawaii in Parisだ。日本文化をパッケージ化したイベントであり、ファッションだけではなく、音楽・日本食等の催し物も多く行われていた。中村教授と稲田大臣も参加している。特に、稲田大臣は特注のゴスロリ衣装を身に纏った。稲田大臣は「パリでは全然クレイジーでもなかったし、日本人もフランス人もパリジェンヌもみんなして楽しむってイベントで、すごく楽しかったです。一人だけ黒いスーツを着ているよりもずっと良かったと思うんです」と語った。また、日本へ帰国後、娘から「ママがクレイジーよ」と言われたという裏話も語った。

(写真:ゴスロリ衣装の稲田大臣と中村伊知哉教授 )

日本のコンテンツ人気は経済効果に結びついていない

中村教授は、日本のコンテンツ産業が縮小しているというデータを提示した上で、どう受け止めるべきかという質問を投げかけた。稲田大臣は「現在、日本のコンテンツは経済効果に結びついておらず、政府が後押しを行えば効果が出るのではないか」と答えた。日本のコンテンツ市場の海外からの収入比率は5%程度であり、アメリカは17%。中村教授は、これまでは国内で需要を賄えていたが、少子高齢化により難しくなってきており、海外への展開が必然的となってきたことを指摘した。

パッケージビジネスは縮小、でも音楽へのニーズは健在

これに対し、堀社長は「音楽を例に上げるとパッケージというビジネスは世界的に縮小している。だからといって音楽が聴かれる回数が減っているわけではなく、聴かれる回数は増えている。ましてや、カラオケに至っては世界中に広まって、歌われる回数は増えている。実態の数字とライフスタイルには乖離がある」と答えた。さらに、インターネットの普及によって世界中に日本コンテンツのファンが広がっていることをチャンスととらえ、上手くマネタイズを行うことが重要であることを主張した。

(写真:堀義貴社長 番組中の写真より)

韓国の成功の秘訣は国全体の本気度

中村教授は比較対象として、韓国の国一丸となった海外攻勢を挙げた。稲田大臣は、「韓国のアイドルは日本語で歌うなど、非常に戦略的だ。見習うべき所が沢山あるが、日本は政府が前に出るのではなく、民間が前に出て、政府が後押しする方が長く続くのでは」と答えた。堀社長は、「90年代に韓国は一度破綻を経験していることから、エンターテイメントと工業製品を売らざるを得ない状態にあった。韓国は、この逆境に対して、国民総出で海外に出ていこうという意識を固め、海外展開を進めた」と答えた。その成功の秘訣として国民全体の本気度の高さを挙げた。

500億円をどう使うか

11月には官製ファンドである「クールジャパン推進機構」が始動する。500億円の資金はどう使われるのか。稲田大臣は「海外に出て行くにあたり、資金が足りない企業の後押しといったような使い方をする」とあくまでも民間企業の後押しをするスタンスを強調した。

堀社長は「民間企業は過去十数年、既に海外展開を行っているのだから過去の検証を行うことが必要」と述べた。

ニコニコ生放送「それでもクールか!?」のアーカイブはこちらから。
Ustreamアーカイブも視聴が可能。

次回からより掘り下げた内容を議論していく。議題、ゲストについては、ブログにて掲載する。

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