人間関係は「誰と付き合うか」ではなく「誰と付き合わないか」 --- 内藤 忍

アゴラ

少し前になりますが、「バカの壁」というベストセラーがありました。人間には理解できない限界がある。いくら説明しても根本的な考え方に違いがある人とは、乗り越えがたい壁があるから、最後まで分かり合えることは無い。そんな内容であったと記憶しています。


人間関係を深めるために理解をしてもらうように心を尽くすのは大切ですが、世の中にはどうやっても理解し合えない人がいる。これも現実です。訳のわからない主張を堂々としてくる人に、こちらの常識を説明しても、相手からは非常識だと思われてしまう。どうにも対応できない状況です。

例えば、マスコミで報道されている殺人事件。ストーカー事件の犯人の動機を聞くと、あまりの理不尽さに愕然とすることがあります。犯罪を犯す側の論理は被害者にはまったく相容れないものですが、相手をいくら説得したり説明をしたりしても解決しないように見えます。

家庭環境や今までの人生経験の違いなのかもしれませんが、同じ日本人同士であっても「バカの壁」は存在するのです。

コミュニケーションによって相互理解を深めようと努力した上で、ある一定の許容範囲を超えたら、もう相手にしないことも重要だと最近強く思います。

そもそもの常識が通用しないのですから、いくら話をしたところで納得してもらえないのです。相手も同じことを考えているとしたら、お互いに近づかない方が良いということです。

人とお付き合いする時に考えるべきは、「誰と付き合うか」ではなく「誰と付き合わないか」です。

自分が付き合うべきではない人に関わってしまうと、そこから逃れるのに大きなエネルギーとストレスを感じることになります。時間と気持ちを無駄にしてしまう、そんな人とはできれば最初から関わるべきではないのです。

と言いつつ、私自身は人を信用しやすい傾向があり、好奇心旺盛。誰とでもまずはお会いしてお話を聞いてみるというのを基本スタンスに生活してきました。幸いなことに仕事においては、そのような方法で多くの魅力的な人たちと知り合うことができました。

しかし、誰でも会える人には会えば良いというやり方では、トラブルに巻き込まれることもあり得ます。もっと「誰と付き合わないか」を公私共に真剣に考えて行動すべきと思うようになりました。

人生で1日に1人新しい人と出会ったとしても、一生で会える人は地球上にいる数十億人のうちのわずか数万人に過ぎません。せっかくお会いするご縁のある方とは、お互いに気持ち良く、楽しくお付き合いできる人にしないと勿体ない。

付き合うべきではない人との「バカの壁」に時間を割いている暇はありません。その時間を自分が出会うべき人との時間に費やす。その方が全ての人にとってハッピーになるはずです。人とのご縁も時間の制約の中で培われていることを意識して生活する。いつも忘れないようにしたいものです。

編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2013年12月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。