不動産バブル再び --- 岡本 裕明

2013年12月17日 23:03

不動産が高騰? 80年代ならいざ知らず、今、そんなことを言っても誰も聞く耳を持たないかもしれません。が、私が大学一年のときに宅建を取って以降、今日に至るまで数年間を除き、ほぼずっと不動産の仕事に携わってきた人間として、絶対にありえないシナリオではない気がしてきているのです。


日本の不動産が負のサイクルに入り始めて20数年が経ち、そろそろ地価が指数上、プラスに転換する兆しが出てきています。地価の上昇地点を調査するたびに確実に増えてきており、そのトレンドからすれば指数が水面上に顔を出すのは2014年に起きてもおかしくない状況にあります。

ではなぜ今、不動産なのでしょう。一般的な説明では金利が安い、消費税増税前の駆け込み、アベノミクスで景気が上向いてマインドの好転ということでしょうか? しかし、仮にこれだけでは少子化、所得格差、非正規雇用の増加などマイナス理由で相殺され、不動産価格が上がると言い切ることは出来ません。ここで切り口を変えてみましょう。

不動産価格が値上がりしてキャピタルゲインが得られるという経験をした人は一部のケースを除き、多分60歳以上の高齢者がほとんどだろうと思います。つまり、日本の常識の中に不動産が値上がりして儲かるという経験則はすっかり消えうせてしまったのです。そこまで意気消沈した理由のひとつに80年代から90年代にマンションなど不動産を購入したサラリーマンの方々がそのローン返済に苦しんだということがあります。6000万円で買ったマンションが半額になってしまってもお父さんはせっせとローン返済を続けなくてはならず、サラリーマンに過度の不動産ローンへの負担があったということであります。ところが20年も経てばその重い返済もそろそろ終わりかけていることにひとつ注目しておきましょう。

次に不動産価値が世界的に上昇し続けているというのは日本を除く常識であります。たとえばKnight Frankというイギリスの世界的に著名な不動産コンサル会社が定期的に発表しているグローバル住宅指標は最新のデータを見ると日本はマイナス2.2%で55か国中48位なのです。つまり、ありえないぐらい低いのであります。ちなみにトップクラスはドバイ、中国、香港、台湾。アメリカは10位でカナダは30位です。また、38位までがプラスでそこから下のランクが住宅指標マイナスであります。主なマイナス国は韓国、および金融危機で苦しんでいる南ヨーロッパ諸国が軒並みランクインしています。

さて、不動産価格も大きなうねりがあり、一定のサイクルを描くことが多く、日本の場合、そのマイナスサイクルが終わり、上昇期に転じてきています。ここで私が描く高騰シナリオとは外国からの資金流入であります。溢れるマネーはよいリターンを得られる投資先を常に探しています。日本ではようやく検討が始まりましたが、世界の公的年金は不動産投資にも非常にアグレッシブであり、ホテルやショッピングモールを始め、最近では空港などのインフラも巨額の年金資金やファンドなどが持つ時代に変わっています。つまり、個人の持つ不動産が上がる、下がるという小川のせせらぎの集合体から海外から濁流のように資金が押し寄せてくる時代に変わりつつあるのです。

では、日本がその対象になりえるかといえば大いにありえるといっておきましょう。歴史的に20年以上の下落相場から底打ちがほぼ明白になり、更に下がるリスクはかなり低いことが挙げられましょう。理由は世界の不動産価格に比べて日本の不動産は相対的に安くなりすぎているからです。海外が高すぎるのではなく、日本が安すぎると見るべきです。そこに目をつけた海外勢は日本の不動産、特にREITが好むようなオフィス、ホテル、デパート、ショッピングセンター、高層賃貸住宅を買い漁るとすればどうでしょう? 取引相場は近隣相場に影響します。不動産屋の「お客さん、あの土地が坪300万なのだからこの土地なら280万は安い」というのは典型的なやり口なのです。これが不動産相場を急速に押し上げるシナリオです。

ただし、これは上がる地域と上がらない地域が明白に出ます。都心、ターミナル駅などマネーが集まりやすいところがその対象になるでしょう。それらの地域が年10%でも上がるようになればマインドが緩み、買い焦りも生じ、地方にも波及するというのが私が今まで見てきた不動産価格の伝播なのです。

さて、本当にこれが起きるかどうか、私はこれから2、3年が勝負どころだとにらんでいます。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年12月17日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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