著者と読者を不幸にする有料メルマガという仕組み 珍しくイケダハヤト師に同情する

2014年01月25日 09:25

イケダハヤト師が、「有料メルマガは儲からない:名だたる著者が死屍累々な理由を考える」(http://blogos.com/article/78218/)というエントリーを書いていた。筆者も、例によって、有料メルマガを撤退した著者の事例として登場していた。

ふと考えたのは、有料メルマガは著者も読者も不幸にするシステムではないかということだ。


私の有料メルマガ撤退劇については、次のエントリーを参照して頂きたい。

有料メルマガをやめました 我が動員とマネタイズ敗北宣言
http://agora-web.jp/archives/1533347.html

「有料メルマガをやめました」宣言、その後 ウェブ進化にはこういうぶっちゃけ話が大事である
http://www.yo-hey.com/archives/54477445.html

要するに、執筆するのにパワーをかけ切れなかった、会員が増えなかった(増やす努力も足りなかった)、値段分のコンテンツを作ることができなかった、ということである。だめだこりゃ。

イケダハヤト師も、自身のメルマガが今のところ苦戦中であることをカミングアウトしている。

このエントリーによると、1ヶ月630円のメルマガなのだが、定価の40%はメルマガスタンドがもっていくので、購読者1人あたりの売上は月額378円。読者が(おそらくこのエントリーが掲載された1月19日現在のもの)約80人で、80人×378円=30,240円の売上なのだそうだ。さらに、編集部を持っているそうで(過去のエントリーによると、編集者とライターが1人ずつ?)その経費が月10万円だそうだ。1ヶ月約7万円の赤字は大きい。

そもそも論で、そんなことは最初から予想がついたのでは、とか、月4本のメルマガとはいえ2人で10万円程度でサポートさせるのは搾取じゃないのかとか、よくその金額でやるなとか、私をメルマガの撤退事例としてあげるのはそろそろやめれとか、いろいろ思うところがあるのだが、どうやら儲かっていない、というか大赤字のようだ。貧弱!貧弱ゥ!

記事では、堀江氏、津田氏、藤沢氏が成功事例としてあげられている。ただ、これらの方が本当に成功事例なのかという点について、私は疑問を抱いている。どれだけの経費がかかっているか分からないからだ。つまり、売上は高くても、利益は少ない可能性だってある。また、ここでの計算は、あくまで売上ベースであり、メルマガスタンドへの手数料は見事に無視されている。

イケダハヤト師は、失敗するメルマガの敗因として

1. 生産力が足りず、息切れする
2. 編集者が不在
3. そもそもやる気がない

をあげているが、これも怪しい。まず「生産力」と言うが、これはどのように分解できるだろうか。単純に数だけではダメだろう。まあ、そもそもネットのコンテンツに期待するなという話になるのだけど、質もそれなりに問われる。

編集者についても、いれば良いというわけではない。メルマガの予算に見合った、ちょうどいい料金でちょうどいい仕事をしてくれる編集者はいるのかという話になる。

そもそもやる気がないというが、じゃあ、やる気があったら上手くいくのか。

この3つができたら、メルマガは成功するのか(失敗しないのか)。実はこの3つの点は何も言っていないのと一緒である。

彼のエントリーはタイトルで「名だたる著者が死屍累々」と言っているが、そもそも、「名だたる著者」は参戦しているのだろうかというのが、私の疑問だ。必ずPVランキングで上位に入る、メディアにかなり露出していて知名度が高い、著書が売れている(しかも、代官山の蔦屋書店ではなく、稚内のTSUTAYAで売れるレベルで)というレベルの著者は、どれだけ参戦してるのかね。それこそ、堀江貴文さんくらいではないか。

もちろん、そこまで知名度がなくても、情報の発信を逆に絞ることによって、価値を上げることはできるのだけど。

ただ、有料メルマガというのは難しいもので、それなりに告知しないと会員は集まらないし、でも、チラ見せされたところで、読みたいと思うわけではない。そもそも、メディア露出している人は、同じようなことを、他の無料で読める記事でも言っている。有料メルマガを登録する意味はあるのかね。

もうひとつ、論点がある。それはメルマガスタンドの役割だ。ここは会員管理や配信の代行をするだけでなく、肝心の新規会員獲得活動を行ってくれなくては意味がない。そこで言うと、イケハヤメルマガを配信しているBLOGOSメルマガは、ライブドアブログ(私はこの仕組みを自分のドメインで使っているのだ、イケダハヤト師やはあちゅうと一緒だが、まったく話題にならなかった)を更新するたびに、「更新しました」通知とともに、遺影のようなイケダハヤト師の写真とメルマガの告知が表示され本当に困るのだが。それでもまだ会員数は80人かね。会員を集めるという機能を果たしきれずに売上の4割抜くとは、けしからん。いや、これだけ告知しても集まらないというのは、そういうものなのだけど。

いつものように、不愉快になりつつ、やや同情するのは、イケダハヤト師のこのエントリーに良くも悪くも「やらされ感」があることだ。要するに彼から積極的に有料メルマガをやりたいというよりは、やらされている、ような。

彼が成功の要因としてあげている

・優秀な編集者を巻き込める
・コンテンツの生産力に自信がある
・強いファンベースがすでに形成されている
・強い告知チャネルを持っている
・読者の期待を裏切らない範囲で、コンテンツをうまく使い回せる予定がある
・当面は儲からなくても続けられる意志と余裕がある

だけど、そんな著者、いねえ。

そして、こんな前提がある中、4割抜くとは、メルマガスタンドって虫が良すぎないか。著者もお人好しすぎないか。いや、私がお付き合いしていたメルマガスタンドは、大変に努力してくれて、私の著者力、努力がなかっただけだけどね。

読者としても、よっぽど、ここだけの情報がない限り、登録したくないわけである。

イケダハヤト師は、どうも、メルマガスタンドにそそのかされているだけという感じがする。相変わらず責任感がないのも?だが。若い人に仕事を生み出したいというのだけど、これだけの手間暇かけて2人に1ヶ月で10万円というのもあれなんで(仕事を生み出すだけ偉いが)、もっと別の方法を考えた方がいいだろう。

というわけで、有料メルマガは著者も読者も幸せにしていないのではないかと考えた次第だ。

私は、もう二度とやらない。無料メルマガ無料のPodcastにこだわる。無料で発信していると、それが自然に次の講演や執筆、コンサルの仕事につながるし。あと、無料で、いい感じで力を抜いて本音を書いたり、語るのは気持ちいい。そういう場を用意していることが、著者活動を楽しく続けるコツだったりする。

最後に、敵に塩を送るというわけではないが、イケダハヤト師よ、有料メルマガが失敗する理由だったら、あなたのメルマガに無料で寄稿してやるぞ。せいぜい頑張れよ。撤退するときは、私みたいに、ちゃんと事例を共有するんだぞ。みんな、イケハヤメルマガはこちらだぞ。

常見 陽平
千葉商科大学国際教養学部専任講師

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