核家族から吹き出す不自然な軋み

アゴラ編集部

我々ヒトというのは、もともと集団で生活してきた生物です。え、今も集団生活してるよね、という意見もあるんだが、核家族化が進み、本来のヒトの群ではない形態の構成になっている。ほ乳類が群を形成する目的は、子育てです。一夫一婦制以前に、我々ヒトは群を形成して子育てをしてきました。ヒトや霊長類の子どもは、産まれてから独り立ちできるまでに時間がかかります。草食ほ乳類は生後すぐに立ち上がって走り回ったりできる。しかし、ヒトの子どもは死にやすく、育てにくく、大きくなるのに手間暇がかかります。


群を形成する生物は、子が生殖可能年齢になると近親交配を防ぐため、オスかメスのどちらかが群を出ていかなければなりません。サルの仲間はほとんどが母系で、適齢期のオスが群を出ていきます。チンパンジーは例外的に父系集団を形成し、繁殖可能になったメスが群を出てほかの群に受け入れてもらいます。ヒトはどちらだったんでしょうか。世界の民族部族を調べてみると、ほぼ8割で男が集団を出ていくらしい。断定はできませんが、ヒトは基本的に母系集団だと思います。

つまり、我々ヒトは、主に母系集団、祖母や母親、姉妹、叔母姪、といったメスの群が中心になって子育てをしてきたのでは、と考えられます。ほとんどの部族や民族、社会は、依然として母系集団が中心になって子育てをしている。嫁が何かと言うと実家へ帰りたがるのも同じ理屈でしょう。

男、つまりヒトのオスはどうしていたのか、と言えば、子育てに参加させ、エサを獲ってこさせるためにヒトのメスは生理周期を隠蔽した、という説もあります。ヒト特有の「恋愛」もこの延長にある。子どもの父親を特定されにくくするためなんだが、父親が誰かわからない、というより、自分こそ生まれた子の父親と思い込ませることが重要、というわけです。こうしてヒトのオスは、母系集団につかず離れず、たまにエサを持ってきて子育てに協力するようになりました。

ところが、核家族化が進み、祖母や母親ら母系集団から切り離された母親は途方に暮れます。社会が子育てを手伝ってくれるかと思いきや、うまくいっている社会は世界にも少ない。前述したように、ヒトのオスは群の外から子育てに関与します。もちろん、男で一つで立派に子を育てた人もいるんだが、基本的に男は子育てに向いていません。

また、核家族の場合、父母と子、という三角関係におちいりがちです。子をめぐって父母が競い争う。思春期を迎えた子がいれば、これが歪んだカタチになって表出するかもしれません。核家族で父母と子がいて、思春期になると家族の間に亀裂が入り、バラバラになる、という話をよく聞きます。これは母系集団から切り離されたのに加え、群からオスが出ていかなければならないのに共存し続けること、つまり近親相姦を防げないことの軋みが表出しているのではないか、と思います。

斗比主閲子の姑日記
“男性がなかなかできない妻への寄り添い方”は元々不燃物


No Winners, Only Losers in Thailand’s Elections
THE DIPLOMAT
相変わらずドタバタしている東南アジアのタイなんだが、2月2日に総選挙が行われました。しかし、投票の妨害やらボイコットやら不正やら何やらがあって、結局は選挙結果が出ないことになりそうです。再選挙、ということになりそう。このままだと再選挙しても同じことが繰り返されるかもしれません。この記事によれば、国境を接するミャンマーがタイの混乱状態に懸念を表明しているらしい。ただでさえ、麻薬や人身売買など、ブラックマーケットが国境地帯にあり、武装した連中がいて困りモンだそうです。今のところ軍は静観を保っているんだが、暴動が長期化したり過激化した場合、軍によるクーデター、ということにもなりかねません。

わずか半年で90万人以上のTwitterのフォロワーを得た「@HistoryInPics」が成功したワケ
Gigazine
写真が必ずしも「真実」を語るわけでもないんだが、こうしたTwitterアカウントが人気、というのは示唆的です。我々は写真に「真実を見たがる」のかもしれない。フォトショなんかでアイコラなんかが簡単にできる時代だからこそ、写真には「真実を語ってほしい」という願望があるんでしょうか。しかし、アンドレ・ザ・ジャイアントは手も大きいけど顔もデカいね。

危機的な状況におけるインターネット情報の評価のためのハンドブック
Current Awareness Portal
これは興味深い文献の紹介です。「VERFICATION HANDBOOK」というもの。「VERFICATION」というのは日本語に訳しにくい言葉なんだが、事実の証明、とでもいうんでしょうか。欧州のジャーナリストや国連の難民高等弁務官事務所などが序文を寄せています。危機的状況における情報の共有と取捨選択、そして送り手の側の姿勢について書いている。インド北部の地震では、誤報やウワサが流され、救援活動に悪影響を与えました。正確な情報を早く的確な相手へ伝える、というのが危機的状況では重要。そのための研究やノウハウの蓄積などが書かれています。

スマホと連携するスマート魚群探知機 FishHunter Sonar 発売、アプリで魚の居場所を表示
engadget 日本版
ここんところのガジェットにおける新製品は「スマホとの連携」というのがキーワードになっています。これまでスタンドアローンっちゅうか、単独で使われてきた機器をいかにスマホとつなげるか、そして新しい機能性を付加し、新たなニーズを掘り起こせるか、というわけです。この「魚群探知機」を使った際のスマホ画面は、まさに釣りゲームそのもの。大げさに言えば、リアルとヴァーチャルの融合だ。同じことがほかの趣味で応用できるかもしれません。


アゴラ編集部:石田 雅彦