極みに到達するには「できるようになってからが本当の勝負」 --- 内藤 忍

2014年02月28日 14:52

知り合いの方の息子さんが働いているということで、麻布十番の「Y」というお店にお邪魔しました。ミシュラン3つ星で、カウンターはわずか4組しかない、予約の取れないお店のようです。

こじんまりとしたお店で、店内は撮影禁止なので、雰囲気や料理をお伝えできないのが残念です。日本酒を飲む方には、東京では驚きの料理を堪能できる、素晴らしいお店ですが、会計の値段も驚くような金額でした。


カウンターにはご主人が陣取って、鮮やかな手つきで旬のカニをさばいていきます。それを一番弟子の方が、炭火で丁寧に焼いていく。店内に何とも香ばしい匂いが広がるのですが、ご主人は、焼き具合やサービスの順番について、客の前であろうが関係なく、厳しく指導していました。

怒鳴りつける訳ではありませんが、師弟の間が厳しい雰囲気になる度に、カウンターのお客さんの間に緊張が走っていました。

食事が終わった後、ご主人とお話しているとこんなことをおっしゃっていました。

「できるようになってからが本当の勝負」

お弟子さんは、自分がいなくても一通りの仕事を任せられるようになっている。もう「できるようになっている」のです。でも、そこからさらに高みを目指して精進することが、職人としての目指すべきレベルなのだと。

だから、仕事がこなせるようになった今こそが、そのお弟子さんの「正念場」だと思って、変わらぬ厳しさで指導しているというのです。

そこには、自分と同じレベルの人材を育てていこうという心意気を感じました。お弟子さんを大切にするからこそ、毎日の仕事の中で、気になることがあるとキメ細かく注意をし、成長してもらおうとしているのです。

日本では最近、「褒めて育てる」というのが、主流のようです。会社に入ってくる新入社員も怒って指導するのではなく、やさしく接して、良いところを見つけてそれを伸ばす。そうしないと、社員がすぐ辞めていってしまうと言います。

しかし、本当に物事を極めるのであれば、褒めることも必要ですが、直すべきことははっきり言ってしっかり指導していくのが、本当の愛情なのだと改めて気づかされました。

気分で感情的になって怒るのではなく、教え子の将来のことを真剣に考えて、指導する。指導するものとされるものが真っ直ぐに向き合ってこそ得られる高いレベルの目標があるのです。

自分の毎日を振り返ってみると、人に教える機会は数多くありますが、「わかりやすく教える」「やさしく教える」という機会はあっても、「厳しく育てる」という経験は無いように思います。

自分がそこまでの高みに到達しているかどうかわかりませんが、真剣に向き合って、厳しく指導し、共に成長していく教え子を、資産運用の世界でも育ててみたい。そんな気持ちになる、一夜でした。

編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2014年2月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。


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