「唯美主義」展覧会で「美」について考える

2014年03月07日 17:56

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右はアルバート・ムーア『真夏』(1887年、油彩、カンヴァス、ラッセル=コート美術館)

「美」とは何か、という問いはけっこう昔から我々を魅了してきました。桜などの絢爛豪華に咲き誇る花を見て我々は「美しい」と感嘆し、国を滅亡させるほどの傾城の「美女」はときの権力者たちを虜にします。こうした「自然物」の「美」が心を打つのは当然かもしれません。しかし、人が作った人工物の「美」とはいったいなんでしょうか。この遠大なテーマを書くには、当方の能力が絶対的に足りないし、外見的にも「美」とはかけ離れているので、哲学的な「美」の考察は古今東西の名著古典にまかせます。


「美」だけを追求する美術運動を「耽美主義」とか「唯美主義」とか「審美主義」とか言います。「美」について薄ボンヤリと考えながら、東京・丸の内の三菱一号館美術館で開かれている「ザ・ビューティフル 英国の唯美主義」という展覧会へ足を運びました。ここに行けば「美」とはなにか、少しでも手がかりがつかめるんじゃないかと思ったわけです。
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中央はフレデリック・レイトン『パヴォニア』(1858~59年、油彩/カンヴァス、53×41.5cm、個人蔵)

この展覧会、目玉になる作品はないんだが、19世紀末の英国で花開いた「唯美主義」運動の名作が数多く展示されています。こないだ当コーナーで紹介したラファエル前派のあとに勃興した芸術運動です。なので、ロセッティとかラファエル前派を主導した画家たちが、こっちの「唯美主義」でも重複している。中心人物は、ギリシャ美術を19世紀に復元したアルバート・ムーアや英国で活動した米国人の画家、ジェームズ・マクニール・ホイッスラーでしょう。この展覧会には、よく知られるオーブリー・ビアズリーの『サロメ』の挿画の展示もあり、また絵画だけじゃなくブロンズ像やタピストリーなどの工芸品なんかもある。この「唯美主義」は、やがて自然な流れとして退嬰的な「デカダンス」や世紀末芸術へ向かいます。

しかし「美」というのは、どうも民族や時代によって変わるし、人によって感じ方も違うようです。今回の展覧会でも、なるほどこれが19世紀末の英国人にとっての「美」だったのか、という感想の域を出ない。確かにどの絵画も工芸品も「美しい」んだが、ただそれは個人的に博物学的な興味にばかりつながり、その「美」に耽溺するところまで高まっていきません。

あまりに「具象的」で「即物的」だからでしょうか。年は取りたくないもんで、感性が鈍化してるんでしょう。いずれにせよ、産業革命が成熟し、その弊害が表面に浮かび上がってきた当時の英国人にとって、この種の「美」の過程を経ることが必要だったんだと思います。あと、今回の展覧会、アルバート・ムーアの『夢見る人々』が来なくて見ることができなかったのが残念です。

ザ・ビューティフル 英国の唯美主義
5月6日(火・祝)まで。場所は三菱一号館美術館。開館は10:00~18:00(祝日を除く金曜日~20:00、入館は閉館の30分前まで)。休館日は月曜日(但し、4月28日と5月5日は18時まで開館)。主催:三菱一号館美術館、朝日新聞社、テレビ朝日、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館。協賛:大日本印刷。後援:ブリティッシュ・カウンシル。協力:全日本空輸、エールフランス航空/KLMオランダ航空、ヤマトロジスティクス。※「ラファエル前派展」(森アーツセンターギャラリー)との相互割引あり。

※写真は、三菱一号館美術館の特別な許可をいただいて撮影しています。

カクレモグノミのブログ
ザ・ビューティフル 英国の唯美主義1860-1900を体感する!


Japan’s Uphill PR Battle
THE DIPLOMAT
米国における韓国系や中国系団体のロビー活動で、日本が誹謗中傷にさらされています。これまで日本政府は手をこまねき、なんら実質的な反論をしてこなかったんだが、最近は少し反撃しつつあるようです。米国民主党でカリフォルニア州選出の下院議員、マイケル・マコト・“マイク”・ホンダ(Michael Makoto “Mike” Honda、日本名:本田実(ほんだまこと)氏が、従軍慰安婦問題で日本を精力的に攻撃しています。日系の議員なのにどうしてかといえば、彼の選挙区に韓国系や中国系の住民が多いせいかららしい。この記事によれば、さらに米国市民であることを強調するためだそうです。これは第二次世界大戦時の米陸軍の日系人部隊442連隊が米国に対する忠誠心を示すため、死傷率314%という壮絶な戦闘行動をしたのと同じようなものでしょう。

Congressman Calls To Ban U.S. Dollar In Response To Plea For Bitcoin Ban
TechCrunch
Bitcoin騒動は米国でも過熱中のようです。Bitcoinを規制しようとする動きがあるようで、それに反対する議員が「じゃ米ドルも禁止しろよ」と要求し始めたらしい。Bitcoinが規制の対象になるのなら、米ドルもそうするべきだ、というわけで、Bitcoinも米ドルも違いはない、という主張のようです。よく、悪貨は良貨を駆逐する、というんだが、Bitcoinが便利で安全なら使う人が増えるでしょう。既存の貨幣と違いがなく、ハッカーなどの攻撃に対して脆弱で価値が不安定なら人気は自然に衰える。アブナイことに近づいて火傷をするのは事故責任。放っておけばいいと思います。

アップルとグーグルが描く「自動車の未来」が、こんなに違うなんて!
TABROID
アップルの「車載iOS」が話題です。これ、日本のクルマにはすぐつきそうもないんだが、実装されたら便利でしょう。当方、クルマに昔のiPodを積み込んでつないでるんだが、カーナビとiPhoneが合体したらいいのに、と思ってます。この記事では、アップルが車載機器の一元化を目指すのに対し、Googleは自動運転のほうを向いている、と書いています。もちろん、Googleの技術のほうが革新的だし、実際に恩恵を受ける人は圧倒的に多いでしょう。

Army’s top sex assault prosecutor suspended after assault allegation
STARS AND STRIPES
「sex assault」というのは性的暴行のことです。米陸軍の主席検察官(中佐)が、2011年の性的暴行に関する会議が行われていたホテルの部屋で女性弁護士にキスを迫ったらしい。まさに性的暴行担当官が暴行で告発されたケースは過去1年に3回もあったそうです。なんちゅうか、米軍はかなりおかしくなってるんじゃないかと思います。


アゴラ編集部:石田 雅彦


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