宮原誠 著『感性のテクノロジー入門』本日発売!

アゴラ編集部

感性のテクノロジー入門(宮原誠 著 価格:¥1200税込)がアカシックライブラリーより発売されました。

 本書は、筆者の大学院後期課程向けの講義で、東京のJAIST pilot(東京駅大丸(8F))へも遠隔講義し、東京雲大美術部学生、デザイン関係の方々も受講した講義原稿を改良したものです。
 従来の画像工学の、リニアシステム理論を基礎としてはじまる講義とは逆に「どう見えるか?」を頭に、ここから「なぜそう見えるか?」「どうすれば良いか?」を詳細に説明し、その後で、科学的、工学的に掘り下げて説明しています。書の中で、かなり専門的と考えられる、技術的、工学的な内容は、小さい文字で記しました。専門でない方にも興味を引くと思います。デザイン発想の助けになるかと思いますので目を通されるようお勧めします。
「コンテンツ制作が主、そのためのサイエンス、エンジニアリングがそれをサポート」の新しいタイプの画像・映像の教科書、参考書ともいえます。ピギナーから、プロのデザイン関係の方に各レベルで役立つと信じます。


以下、本書「はじめに」より転載。

本書の特長一一電子映像:この“駿馬”の使いこなし
 完成した電子画像(DVD、JPEG、MPEG)やテレビ(NTSC、HDTV、ディジタルTV)の技術ですが、基礎、本質的故に、ディジタル画像時代になっても、常時留意しなければならない事実があります。高品位映像をクリエートするための本質的で、高度の画像知識を図・写真を満載して、突っ込んで説明しました。高品質な画像装置、システムの開発、評価にも役立ちましょう。
 コンテンツまで軽薄短小な20世紀が過ぎました。21世紀は、“本物、深いもの”で行きましょう。21世紀映像のCG作家、コンテンツデザイナー、高画質装置開発技術者、情報マイスター、情報ソムリエさんへ送ります。この知識を持って、心に迫る高品位な創作を期待します。
 本書は、筆者の大学院後期課程向けの講義で、東京のJAIST pilot(東京駅大丸(8F))へも遠隔講義し、東京雲大美術部学生、デザイン関係の方々も受講した講義原稿を改良したものです。
 従来の画像工学の、リニアシステム理論を基礎としてはじまる講義とは逆に「どう見えるか?」を頭に、ここから「なぜそう見えるか?」「どうすれば良いか?」を詳細に説明し、その後で、科学的、工学的に掘り下げて説明しています。書の中で、かなり専門的と考えられる、技術的、工学的な内容は、小さい文字で記しました。専門でない方にも興味を引くと思います。デザイン発想の助けになるかと思いますので目を通されるようお勧めします。
「コンテンツ制作が主、そのためのサイエンス、エンジニアリングがそれをサポート」の新しいタイプの画像・映像の教科書、参考書ともいえます。ピギナーから、プロのデザイン関係の方に各レベルで役立つと信じます。

本書の内容は以下の通りです。

●第1章
画像、映像と創作・感じる心:創作の心の伝わる画像システムとは?映像は内容を表わす語、画像は表示されているモノを意味する語とします。テスト映像の品格がシステムのphilosophy、品質を決める。最高位評価語の“凄い”、“ 実在感”を、映像と画像を結ぶ、心理物理的評価語である、奥行き感、鮮鋭、階調(黒)の助けを借りて、高品質画像に重要な物理的な要因・特性とは何か? を説明します。

●第2章
画像はどうディスプレイされるか?一伝えたい映像は正しく表現されるか一
縦横比、量子化レベル、解像度、階調と画質、伝送。

●第3章
視力、副尺視力、視覚の空間周波数特性。
粒状性ノイズはいちばんめだつ大きさがあります。“力強さ”を表わす輪郭の太さはどのくらい? 色視覚の基本軸は、緑ー赤、青一黄。
●第4章
画像の品位再現に重要な特性。具体的には、
 ・弥勤菩薩像がただの木造でなく、お命が宿っているように再現できるか?
 ・“黒じまり”、“階調再現”が品格表現に不可欠、
 ・電子グラフィックスの階調再現、非直線伝送系の意味の深さ、
 ・フレアー、ハレーション、ノイズ、インパルスレスポンス、
など。
●第5章
電子映像はどのように構成され、伝送されるか?
まだまだ10年は使われるNTSC方式:視覚特性を総動員した巧妙な20世紀の代表的変調方式のエキスを説明(ディジタルテレビ、DVDも視・聴覚的に同じ考えで作られていますから、基本を理解するのに重要です)。
あえていえば、非直線伝送特性の妙味です。
●第6章
力強い表現と高忠実との違い。
伝送劣化の補正は高忠実です。輪郭強調と輪郭補正は違います。Mach効果と視覚の空間周波数特性は、同じ特性。
●第7章
画像の品位、黒じまり(黒の再現)。
黒の“浮き”は、映像表現をだいなしにします。現場画像・映像技術者に要求される必須センスである黒の浮き上がりの成分の切り取りについて解説。
●第8章
画面で生じる光学的劣化、妨害について解説。
●第9章
NTSC信号と、その“見え”の詳細について。NTSC方式の本質を知る一画質論的本質考察とその改善について、
 ・カメラ出力が原画像、
 ・NTSC方式の特徴と問題点;圧縮多重化したため、
 ・輪郭の色にじみ;テレビは塗絵方式:色解像度小で失われる感激、
 ・y(輝度信号)/C(色信号)分離の困難さ、
 ・チラチラ色妨害:cross color、dot妨害:cross luminance、
 ・店頭で売れるテレビ:1真っ青テレビ、2コントラスト最大ー黒つぶれ、白つぶれ、3輪郭強調過度、4マゼンダ色の顔、
 ・テレビは“電気紙芝居”から、グレードアップできるか?
 ・“輪郭”より“曲面”で画像を作ろう。
 ・EDTV:画質はNTSCとほぼ同じ。両立させたために生じる従来テレビの画質劣化内在、
など。
●第10章
ハイビジョンとMUSEについて解説。
MUSE方式は、従来形の信号の周波数領域での多重の究極方式です。しかし、視覚的にめだつ画像誤差、画質劣化を発生するので、時間領域(画面上で直接見える)の歪の検討が必要になります。MPEGとの違いは静止と動きの境界部分の画質がやや悪いことです。諸欠点をディジタルテレビに移行して解決する方法について説明。
●第11章
Digital TV-JPEG、MPEG、DV-:ディジタル信号への移行は、アナログ(EDTV、MUSE)の限界が明らかになったので、必然です。しかし、表面上のアナログの欠点は解決されましたが、“電気紙芝居”を超えていません。JPEG、MPEG、DVDは新しい高品質ではなく、従来系のNTSCアナログの欠点を、一部克服しようとしたに過ぎないといえます。今後、高品位コンテンツ主眼の新メディアを考えたほうが良いと筆者は思います。また、“ディジタル臭い画像”の欠点は“ディジタル”そのものが悪いのではなく、実現するハードウエア上の“ディジタル”の欠点といえるでしょう。
●第12章
NTSC、DVD、CGの動き表現。
 ・動画像観察時、目玉は動物体を追従して動いているが、網膜上像は静止している。
 ・“まとまり”で見る動画像。
 ・こま繰り返しのとき(7Hz-30Hz)、jerkiness妨害を生じるので、毎秒コマ数は多いほど動きが汚い!
 ・フリッカー妨害は約13Hzで最大。
など。
●第13章
創作に使える錯視:狩野派の闇夜の満月の浮き上がって見えるように描く技法:Craik-O’brien効果について説明。
●第14章
電子画像の更なる深い表現を可能にする:Extra HI System Mについて、解説します。
要因の発見、評価法。空気感、湾る感、深々、凄みの表現ができる新しいメディア。
●第15章
Extra HI System Mで、ネオ印象派を作ります。輝き感と黒の表現が主。
 ・電子映像は“かがやき”を表現できる!
 ・もし印象派画家が電子画像を手にしていたら凄い作品が期待できていただろうに!
   – 絵の具、印刷を超えた世界 –
 ・detail contrastでこそ表現できるもの – 大振幅step response、slew rate –
 ・金色:黄色との違いは輝度情報の違い。
 ・黒、白ともクリップは絶対ダメ!
 ・ノングレア眼鏡では“つや”が見えない。
●第16章
深い感性の世界の創作と“感動”の客観的計測。
谷崎潤一郎の“陰磐礼讃”を読もう。この世界をバーチャルで表現しようとしたいのがExtra HI System M。

 この書籍は、初版出版後、感性工学会、映像メディア学会より賞を得ています。
 2005年5月に初版を出版後、「アートと画像技術をつなぐバイブル」との過大なお褒めもいただき、一方では、「将にエキスに迄切りつめたので、もう一冊詳細版が欲しい」とのご意見もいただきました。
 2014年現在、4K、8Kが可能になってきて、技術的制約なしにデザイナーが創作をすることが可能になってきた。4K、8Kは、大画面の方向に向う特殊用途が主のようではあるが、本書は「深み、自然さの方向への高画質に使う」方向に焦点在当て、初版後の新しい知見も含んで、初版に数ページ追加する改訂版としました。

【著者略歴】
宮原誠(みやはらまこと) ペンネーム:響に學(ひびきにまなぶ)
東工大工学博士(1975)。NHK山形(1966~1968)技術研究所(~1978)。長岡技大助教授・教授(1978~1992)北陸先端大教授(~2006)定年。中央大学研究開発機構教授(2006~2011)。東工大世界文明センタ特任教授(2010~)。HMラボ代表(2003~)。映像情報メディア学会、電子情報学会の各フェロー。
特記:カリフォルニア大学デーヴィス客員教授(1983)。日本学術振興会の未来開拓研究JSPS Project(97P00601)代表(1997~2001)。

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