米3月時点のFF金利見通し、タカ派へのシフトを意味せず --- 安田 佐和子

2014年04月10日 11:56

米連邦準備制度理事会(FRB)は9日、3月18~19日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録を公表しました。当時、声明文とともに明らかになったFOMCメンバーによる経済・金利見通し(SEP)で、2015年のFF金利見通し・中央値は従来の0.75%から1%へ、2016年も1.75%から2.25%へそろって上方修正。マーケット関係者の早期利上げ観測を台頭させる一因になりました。しかしFOMC議事録では、このFF金利見通しに対し「数人の参加者は見通しの変更を過剰に反映させている」と指摘。また「多くの参加者はFF金利見通しが上方修正された点につき、2013年12月以降の労働市場の改善に保証されていると間違いなく判断しており、緩和縮小を表す反応関数と認識する必要はない」と説明していたんです。

イエレンFRB議長の「6ヵ月」発言、やっぱり失言ではなかったんですね。

fed-yellen

(出所 : Financial Post)

ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙のFed担当であるジョン・ヒルゼンラス記者の署名記事のタイトルも、ズバリ「Fedは政策金利見通しに対する誤解を懸念(Fed Worried About Misleading on Interest Rates at Policy Meeting)」。FOMC参加者の間で、FF金利見通しが引き締め的政策へシフトすると間違って解釈される懸念が生じていたと報じています。以下は、WSJ紙が指摘した重要ポイント。

1)FF金利見通しに対する解釈への懸念

→上記の通り

2)低インフレへの懸念

→2人の参加者はインフレが向こう2年間にわたって目標値「2%」へ回帰しないリスクへの不安を表明し、Fedが適切な緩和策を提供しているか疑問視した。数人の参加者は、インフレが一定期間にわたって「2%」を下回る場合、利上げに着手しないという文言を新たなフォワード・ガイダンスとして加えるべきと主張。ただし、同案はすでに織り込まれているとの結論に達した。

3)長きにわたる低金利続行を確認

→参加者は、不測の事態に備えたアメリカ家計の高水準にある貯蓄率、世界における高い貯蓄率、人口動態の変化、潜在的生産力の緩やかな伸び、信用引き締めを背景に低金利は適切と判断。

4)FRBのスタッフは、FOMCメンバーより悲観的

→ FRBスタッフは、ここ数年の潜在的生産の伸びを下方修正した。実質国内総生産(GDP)見通しは小幅ながら下方向へ傾いており、FF金利誘導目標が低水準にありながら負の衝撃に耐えうるほど安定していないと見込む。

5)ウクライナより、中国に注目

→中国の鈍い成長は世界の商品相場に下方圧力を与えており、2人の参加者は中国経済が予想以上に減速すれば世界成長にマイナスの影響を及ぼすとみなしていた。

6)イエレンFRB議長のデビュー戦、実質は18~19日プラス1日の会合に

→委員会は3月4日、ビデオカンファレンスを行い、数値目標6.5%をはじめFF金利に関するフォワード・ガイダンスにつき変更の可能性を含め協議した。

以上の内容を大いに好感しダウ平均は100ドル超へ上げ幅を広げ、米10年債利回りも2.71%台から2.67%台まで急低下。米株高・米債高の陰でドルは一段安となってしまいました。FF金利先物動向では早期利上げ観測がキレイに巻き戻されただけに、いかにもな反応です。

FF先物動向、FOMC議事録公表まもなくは以下の通り。

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あらためて、イエレンFRB議長率いるFOMCのハト派スタンスを認識しました。米3月雇用統計で賃金があんな状態では利上げの一手が前倒しされる可能性は非常に低いと考えざるを得ず、緩和寄りな政策は2015年に入ってからも続く期待が募ります。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年4月9日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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