悩める日銀、羽ばたく企業 --- 岡本 裕明

2014年04月10日 12:00

そろそろ3月決算の声が聞こえてくる時期になってきましたが日本企業は過去最高益を更新する企業が続出しそうな状況となってきています。そしてそれらの企業が最高益をたたき出すその理由は円安だったわけではないというところに大きな意味がありそうです。

一方で日銀は4月8日の日銀政策決定会合で現状維持という判断を行い市場の一部にあった「異次元の金融緩和第二弾」を打ち消すことになりました。これを受け、円は急騰し101円台、株も弱含みとなっています。


こんな世界を見ながら何かおかしいと感じないわけにはいきません。

まず、日銀が主導した異次元の金融緩和で確かに10数円の円安誘導に成功し、それを受けて株価もほぼ2倍まで上昇を遂げることになりました。しかし、長年株をやっている人はお分かりの通り、株価は結果を買うよりも未来を買う傾向が強く、2013年当初アベノミクスなる政府主導の経済対策のアドバルーンが次々と打ち出されたことで期待の風船は大きく膨れ上がったのであります。

日銀の金融政策は政府主導の経済対策とペアであることによりワークします。アメリカでも金融緩和とともに政府主導のさまざまな対策が相乗効果を見せたことで2008年の金融危機を乗り切って来ました。私は金融緩和だけでは株高は演じきれず、日本経済は支えきれないと主張してきているのですが、即効薬の金融緩和とそれに頼る市場という構図がはっきり出来上がってしまった感があります。

日銀の異次元の緩和で日銀の国債は73兆円増え、日銀券は3兆円強しか増えておらず、その差は日銀への当座預金となっている状況を見るにあたり、金融緩和だけでは市場に資金を流し込む介在は出来るがその主役にはなり得ないということを改めて物語ったと思います。

更に先日のブログでも書いたとおり、4月1日の消費税導入を機に円安によるコスト高から便乗値上げが相当出ているとみられ物価は2%を大幅に超えて上がる可能性がある気がしています。そうなれば日銀としては益々金融緩和ができない方向に向かっているともいえるのです。

では企業は苦しんでいるのかといえば大手企業に関してみれば冒頭の通り、最高益更新となりそうな気配です。業種にもよるのでしょうが、私が見る限り、企業内のコストダウンが劇的に進み、新日鉄住金のようにM&Aによる構造的改革が進んだところもあります。また、海外事業の展開で国内比率が縮小し、逆転化しているところも多くなってきています。銀行もメガバンクを中心に最高益水準を維持しそうですが、かつての国債売買の比率が大幅に下がって本業で儲けるようになってきたことは意味あると思います。

つまり、日本企業は大手に限って言えば日銀や政府の三本矢のプランにかかわらず、果敢に攻め、コストダウンを図り、日本企業としての体質をより筋肉質にしているともいえるのです。とすれば、企業の成績と市場の動き、更に日銀や政府の対策はバラバラになりつつあるともいえるようです。日本企業はより強さを増し、市場は外国人投資家のクルクル変わる天気のような動きにほんろうされ、アベノミクスへの期待は徐々に下がってきて今や期待のトップページにのぼることはないということでしょうか?先日の戦略特区も場所だけ発表され中身がないという呆れた内容に私も大失望であります。中途半端な発表ならせずにこれこそ戦略性をもってあたってもらいたいものです。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年4月10日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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