「円」の独自性と「逆張り」ミセスワタナベの危うさ --- 岡本 裕明

2014年04月16日 13:52

日経電子版のミセスワタナベの逆張りで円高を食い止めているという記事に思わず目が行ってしまいました。「大手FX会社での取引分だけで、1週間のドル買い越額は38億ドル以上増加。この増加額は、日銀が量的・質的緩和策(通称、異次元緩和)を始めた昨年4月以降で最大だ。1ドル=103円台から101円台へとドルが下がった局面で積極的なドル購入に出た模様だ。円相場が一気に100円に向かう展開にならなかった背景に、こうしたミセス・ワタナベ(FX投資家の通称)の動きがあったようだ。」という記事に逆張りが大好きな日本人個人為替トレーダーに円安信仰は絶対的なものなのかもしれないと改めて考えさせられました。


ミセスワタナベと称する日本の個人FXトレーダーはその金額もさることながらその逆張りと動きのユニークさで為替の世界では一定以上の認知がされているようです。そのFXトレーダーの弱点は時差であり、ドル安円高になりやすい情報が日本の夜中から明け方に出てしまうとストップロスを巻き込み、一気に円高になってしまうことがしばしばあるのですが、これは為替は眠らないという大前提に対して個人トレーダーがカバーしきれない弱点であり、これを外資はついて東京市場が開く前の薄商いの時間を狙ってどんと円買いをするという戦いが起きるのです。

円の特徴はその独自性かもしれません。主要通貨のドル、ユーロ、ポンドに対して円はアジアのユニークなポジションであると言えるでしょう。例えばウクライナで問題が起きればユーロもドルもポンドも買えないけれど円と金ならセーフヘイブンという考え方になっています。それは逆説的に言えば日本は主要国と一定の距離感があるともいえるのです。

長期的に円安になる主張の一つはその財政赤字と共に経常収支の赤字が迫っていること。ですが、アメリカは基軸通貨という理由はあるにせよ、近年それが直接的引き金で極度のドル安に繋がったことはありません。日本の国債価格が暴落するという理由も何度もあげられました。議員になった藤巻氏が特にその急先鋒であるわけですが、彼は何年も前から言い続けていますが、現時点ではその兆候のかけらもありません。今後、仮に大幅に円安になったとしても理由は藤巻氏が指摘する理由ではなく戦争リスクといったような日本が根源的リスクを抱えた時だと思います。

安倍首相が黒田日銀総裁と会い、場合によっては異次元の緩和第二弾について話が出るのではないかという憶測がありました。私はもともと緩和第二弾はないと思っていますし、どうもその期待はすぐに萎んでしまったようです。黒田日銀総裁は割と分かりやすい性格で自分のポリシーを一気に吐き出してしまうタイプに見えます。そして異次元レベルの緩和をやった黒田采配はノックアウト勝ちしたという自負があります。すでに勝っているのですからもう次はない、むしろインフレが進行しすぎないよう調整するというぐらいになっているように見えます。

とすれば、円安にそこまで賭ける度量は私にはありません。購買力平価を含めた日本の潜在力を説くアナリスト、経済学者が多い中で為替だけ円安というのは不合理であるように感じないでしょうか?

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年4月16日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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