欧州王室で“世代交代の風”が吹く --- 長谷川 良

2014年06月08日 09:34

スペインの国王フアン・カルロス1世(76)は6月2日、退位を表明し、フェリペ皇太子(46)に国王を譲位することになった。それに先立ち、日本の皇室と関係が深いオランダのベアトリクス女王(76)は昨年1月、退位を表明し、同年4月に長男のアレキサンダー皇太子(47)に王冠を譲ったばかりだ。アムステルダムで挙行された新国王即位式典には、日本の皇太子ご夫妻やイギリスのチャールズ皇太子夫妻など18か国から皇族や王族が出席し、新国王の門出を祝った。そしてベルギーのアルベール2世(80)は昨年7月、高齢などを理由に退位を表明し、長男のフィリップ皇太子(54)に譲位している。


スペイン国王の場合、親族関係者の汚職、自身のスキャンダルなど不祥事が重なり、国民の中で王室廃止論すら聞かれてきた。一方、結婚後、「夫婦仲がうまくいっていない」と囁かれてきたフェリベ皇太子夫妻が危機を脱したこともあって、国王継承の時が熟してきていた。その意味で、カルロス1世の退位表明はサプライズではない。オランダ王室の場合、1980年から33年間、オランダ王国に君臨してきたペアトリクス女王は息子(次男)王子をスキー事故で失うなど、心労が重なっていた。その意味で、ベアトリクス女王の退位表明も賢明な判断だったといえるだろう。

欧州王室には世代交代の風が吹き上げている。世代交代の次期候補者としては、スウェーデンのカール16世グスタフ国王(68)が挙げられる。同国王は女性スキャンダルで国民の信頼を失い、退位すべきだという声が高い。その一方、2010年6月に平民出身のダニエル・ウェストリング氏と結婚したヴィクトリア王女(36)の国民的人気は高く、「ヴィクトリア王女が女王に就任すべきだ」という世論調査結果が公表されるほどだ。

欧州王室の新しい主人公たちは多彩だ。デンマークのフレデリック皇太子(46)の后、オーストラリア出身のメアリー妃は結婚当初、“モード狂”と国民の間で批判を呼んだが、ここにきて皇太子を凌ぐ人気がある。女王マルグレーテ2世のご主人、ヘンリック殿下(フランス出身)は今なお、デンマーク語が流暢に話せないこともあって、皇太子夫妻への王冠継承を願う国民の声が聞かれる。

英国では2011年結婚したウィリアム王子(31)とキャサリン妃夫妻の人気は高い。同時に、王位継承順位第2のウィリアム王子が父親のチャールズ皇太子に代わり、エリザベス女王の後継者(皇太子)に就任すべきだといった声もある。また、一時期不仲説が流れていたモナコの大公アルベール2世と(南アフリカの元五輪水泳選手)シャーリーン・ウィットストック妃の間でお目出度の話(妊娠)が流れている。ノルウェーのホーコン王太子(40)と2001年8月に結婚したメットマリット妃の場合、シングルマザーで麻薬摂取歴があるだけに、結婚前に批判があったが、不祥事を国民の前に告白したことから国民の間で人気が急上昇した。国民はメットマリット妃を「現代のシンデレラ」と呼んでいる。ノルウェー王ハーラル5世とソニアの長女としてオスロで誕生したマッタ・ルイーゼ王女は天使と交信できることで有名だ、といった具合だ(「『天使』と交信できる王女様」2012年8月24日参考)。

欧州王室の世代交代で王室のあり方にも変化がみられる。欧州最年少の国王に就任したオランダのアレキサンダー国王は3代続いた女王時代とは違った王室を生み出すだろう。欧州王室専門家は「新国王は朝9時から夕方5時まで国王としてその執務を果たすと、その後は家庭生活の時間を享受するだろう」と指摘し、若い国王カップルは家庭生活をこれまで以上に重視していくと見られている。スペインの次期国王のフェリペ皇太子夫妻も新時代が生み出した新しいタイプの夫妻だ(レティシア妃は離婚暦のある国営放送の元ニュースキャスター)。21世紀の欧州王室が今後、どのように変身していくか、注視される。


編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2014年6月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。


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