悪い会社を買収する馬鹿はいない

2014年06月24日 11:30

誰だって、悪いものを、喜んで買ったりはしない。買う価値があるから買収するのだ。良い会社は、買収する価値の高いものだから、価値以上の価格でしか買収されない。つまり、割高に買収される。価値と価格の差は、プレミアムである。


せっかくプレミアム払った買収ならば、つまり良いものを高く買ったのならば、その良さを壊すような変革を、買い手として、行うはずがない。だから、本来は、買収を恐れる理由はない。にもかかわらず、被買収を否定するのは、経営者が自己の経営の正しさに自信をもっていないからだ。これが、資本市場の論理である。

ところで、本来の事業価値の良さを損なう下手な経営というものもあり得る。結果、株価が低迷する。このような企業は、本来良いものを安く買えるという意味で、格好の買収の標的になる。買収後に適切な改革が行われ、本来の事業の良さが復活することは、社会の利益である。

この場合でも、買収されるのは、良い企業だからである。より正確にいえば、見かけの悪い企業でも、良い事業をもつ企業だからだ。誰も、悪い事業を買収したりはしない。良い事業が下手な経営のもとにあることが問題なのである。良い事業をもつ会社は、本来は、潜在的に良い企業である。だから、買収等を通じた改革で、簡単に良い会社になれるのである。

このように、市場の客観的な力により、社会改革を推進しようというのが、本来の資本主義の論理である。この論理に反して、経営の主観を貫きたいなら、資本市場から非公開化により撤退すべきである。もちろん、適切な価格で、充分なプレミアムを払ったうえで、株主から株式を買い取ることによってだが。

では、日本の株式市場の現状はどうだ。変わるのか。良い会社は良い。変わる会社は変わる。株式投資の基本は、良い会社を買うことだから、市場全体は、どうだっていい。買えるものだけを厳選して買えばいい。もともと、そういうものだ。ならば、日本の株式市場は、というような社会評論には、もはや何の意味もない。

日本でも、良い会社は、他社の良い事業を買収によって手に入れ、良い事業をもつ悪い会社は、被買収や経営改革等で、良い会社に蘇り、悪い事業は、市場の自働浄化作用で、清算されていく、そのような変革の可能性だけに注目して投資すればいいのだし、その可能性は、日本のような大きな経済には、必ず、どこかにある。もっとも、それは、公開株式市場だけには限らないが。

森本紀行
HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
HC公式ウェブサイト:fromHC
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