「パワードスーツ」はどこが抜きん出るか

2014年06月29日 22:31

政府が「ロボット」関連に注力しています。介護利用などを含めた本年度のロボット関連予算は25.5億円。2012年11月には「ロボット技術の介護利用における重点分野」を策定。産業用ロボットの出力規制も緩和され、昨年6月に閣議決定された「日本再興戦略」の一環として経産省や厚労省を中心に「ロボット介護機器開発5カ年計画」が進められています。一方、ソフトバンクがヒューマノイド「Pepper」を発表し、パナソニック(アクティブリンク)が「パワードスーツ」を世界で初めて量産化するなど、各メーカーがこぞってロボットビジネスに参入しようとしている。その結果、ロボット関連銘柄の株が上がるなどし、ようやくロボットの技術開発が加速しそうな感じがします。

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サイバーダインが開発した「災害対策用ロボットスーツHAL」


6月25日、NHKの夜の番組で「ロボットスーツ」つまり人間の肉体的な筋力を強化したり補ったりする装着型の「パワーアシスト」装置が紹介されていました。開催されているサッカーW杯の開幕戦の始球式で、パワーアシストスーツをつけた下半身麻痺の人がボールを蹴る様子が導入部だったんだが、その後、多種多様な「ロボットスーツ」が登場し、その可能性を探るような内容になっていた。ゲストコメンテーターは、筑波大学でロボットスーツ「HAL」を手がけ、先日、株式公開した大学発ベンチャー、サイバーダインの創業CEOの山海嘉之教授でした。

冒頭で下半身麻痺の人にボールを蹴らせたのは「ウォーク・アゲイン・プロジェクト」の技術です。これはヘルメット状のセンサーを頭に被せ、脳波を測定してコンピュータで解析し、パワーアシストのモーターを動かす、というもの。ただ、可搬型で非侵襲系システムで微弱な脳波を測定するのは、かなり難しいらしく、誰でも動かせる、というものではないようです。

一方の「HAL」の場合、脳から各筋肉を動かす「生体電位信号」という神経信号を検出し、装着者の意志に追随してパワーユニットを動作させる、という仕組みになっています。脳波ではなく皮膚表面の電気信号を使う、というのは、やはり脳波が微弱過ぎてノイズも多いからです。脳波測定が使用者をかなり限定的に選ぶのに比べ、汎用性が高い、というのも「生体電位信号」を使う利点なんでしょう。

番組では、モーターではなく圧縮空気を「人工筋肉」に使った東京理科大の小林宏教授らの「マッスルスーツ」も紹介されていました。この技術の場合、圧縮空気の収縮する力を腰の伸ばす方向に変換し、腰にかかる負担を軽減します。動作させるには、脳波や生体電位信号などは使わず、関節に埋め込まれた角度検出センサーを使う、というわけ。小林教授は、アンドロイド「SAYA」の前から圧縮空気にこだわって研究してきた人です。

さらに、番組内ではキャスターが、パナソニックの社内ベンチャーであるアクティブリンクが開発したパワードスーツを実演していました。これは装着者の力と方向を検知し、パワーユニットが追随する、といった技術のようです。また、番組では紹介されていなかったホンダの技術の場合、ヒューマノイドロボットASIMOの技術を応用し、各種の歩行アシストユニットを開発しています。かがんだ姿勢の作業が多い工場の組み立てラインなどで実証実験が行われているんだが、これも装着者の姿勢や力の要れ具合を検知して支えたり補助したり、といった動作を行います。

表題の記事では、イスラエルの「ReWalk」というロボットベンチャーの技術が、FDA(食品医薬品局)で初めて認可された、と書いています。これは装着者の歩行時の重心を検知して歩行をサポートするらしい。ようするに、現状の「ロボットスーツ」は、動作させるという大元の基礎技術を、てんでバラバラに研究開発している、というわけ。脳波を直接、読み取ろうとしたり、皮膚の上から筋肉を動かす電気信号を検知したり、はたまたそうしたセンシングはあきらめ、人間の動作からユニットを動かそうとしたりしています。我々人間が自分の肉体をどうやって動かしているのか、というメカニズムがわからない以上、しばらく試行錯誤が続くことになるんだろうが、もうちょっとで頭一つ抜ける技術が出てきそうな予感もします。

gizmag
ReWalk exoskeleton gets FDA approval for home use


高級ワインが世界の電力不足を救う!? 実は身近な“超電導”と”お酒”のハナシ
logmi
これはなかなか興味深い話です。お酒と金属の関係。TEDの講演会を書き起こしたものなんだが、けっこう話術が巧みですね。この方「材料・物性研究機構」の研究者らしい。しかし「超伝導」ってもうこんなに我々の身近な技術になってるんですね。

アマゾンで買えるもーんのすごい高額商品ランキング
GIZMODOジャパン
米国のAmazonっていろんなものが売ってるんですね。日本ではヤフオク!があるので、そっちのほうへ流れているんでしょうか。さて、米国Amazonで最も高額な商品の一位は、なんと「靴」だそうです。さすがにこれは何かの間違いなんじゃないかと思うんだが、3位の25億円超とか4位の5億円とか、このあたりが最高額なんでしょう。

Facebook’s Unethical Experiment
SLATE
米国でFacebookが約70万のユーザーのニュースフィードを意図的に操作し、ソーシャルネットワークと感情の伝播の関係を研究していた、という記事です。ネガティブな話題、ニュートラルな話題、ポジティブな話題、といったものを流したら、ユーザーがどう行動するか、というわけ。ソーシャルネットワークはユーザーの感情を操作できる、との結論が出たそうです。こうした調査、記事によると米国の法律では合法らしい。しかし、倫理的にどうなのよ、という批判が起きているようです。

HondaJet量産1号機が初飛行に成功 ~2015年のデリバリー開始に向けた新たなマイルストーンを達成~
HONDA
価格が約4億4000万円というホンダの商用6人乗り小型ジェット機の量産型が初飛行したようです。FAA(米国連邦航空局)の形式証明は、2015年の1月から3月あたりに取得できるらしい。現状の受注数は100機以上、ということなので年間生産台数の数年分を先食いしてる、とのことです。「フラクショナル・オーナーシップ」の普及により米国では小型ビジネスジェット機の需要がかなりあり、この分野の運行会社も少なくない。そのため「サイテーション(Citation)」シリーズを売り出しているセスナ社やリアジェットなど、ホンダのライバルも多いわけです。また、ボンバルディアグローバル・エクスプレスやガルフストリームG550などが定員の枠に幅を持たせたラインナップを用意しているように、多種多様なサイズや定員数を並べたメーカーのほうが有利、という話もある。2015年にF1に再参戦するホンダ。いろいろ新しい分野にチャレンジもしているようで、このビジネスが軌道に乗るかどうかも要注目です。

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量産1号機の初飛行の様子(photo by HONDA)


アゴラ編集部:石田 雅彦


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