少子化の原因は恋愛至上主義ではなかろうか

2014年07月09日 21:58

先日は七夕でもあったので、恋愛について書いてみたい。とはいっても、素敵なロマンスの話ではなく、現代社会が当然と考えている「恋愛至上主義」、あるいは「恋愛結婚至上主義」について、ちょっと相対化して考えてみたいと思う。

以前、ベストセラー『選択の科学』での興味深い研究結果を紹介しつつ「結婚の科学 恋愛と見合いどっちが幸せ?」という記事を書いた。

選択の科学
シーナ・アイエンガー
文藝春秋
2010-11-12



そこでは、結婚直後は恋愛結婚の方が満足度が高いのに、結婚後10年以上経つと、恋愛結婚の満足度はかなり低下し、お見合い結婚(取り決め婚)の場合は年数を経るにつれて満足度が上がり逆転するというインドの調査結果が記されている。日本でも、恋愛結婚の離婚率はおよそ4割、お見合い結婚の離婚率は約1割というデータがある。

大恋愛が繰り広げられるドラマや映画にどっぷり浸かっている現代日本人は、恋愛の末に結婚することが当たり前で、それ以外の結婚、お見合い結婚はダサいという「恋愛至上主義」がいわば絶対的宗教のように信じられている。だが、よくよく考えてみると、結婚後の幸せが結婚の形態だけで決まるかどうかは分からない。

こんなことを書くのは、日本の国家的危機となっている少子化の大きな要因として非婚化が挙げられ、そこに問題が絡んでいると考えられるからだ。生涯未婚率は2010年時点で男性20.14%、女性10.61%で、1985年頃の両性とも5%未満から年々急上昇している。結婚し子どもを持っている家庭の中での子どもの数はさほど減っていないのに、そもそも結婚している、あるいは結婚できる割合自体がかなりの勢いで減っているのである。

非婚化や晩婚化の原因は、女性の高学歴化やキャリアをより重要視するようになったこと、あるいは非正規雇用の増加と若年世代の収入の低下も挙げられる。ただ、それだけではなく、行き過ぎた恋愛結婚至上主義が恋愛弱者の結婚を阻んでしまっているのでないかとも考えられないだろうか。

お見合い結婚の割合は1940年代で70%、そして合計特殊出生率2.0以上を維持していた1970年代前半までは3人に1人がお見合い結婚だったが、そこからさらに急下降し、現在は5%ほどである。お見合い率の低下は未婚率の上昇や出生率の低下と軌を一にしている。

『結婚の科学』では興味深い対比が記されている。それは、欧米で愛されるシンデレラの物語はシンデレラと王子様がガラスの靴を通じて結ばれるまでがストーリーで、結婚してからは「それから二人は幸せに暮らしましたとさチャンチャン」で終わってしまう。一方、インドで愛されるタージマハルの物語は、結婚まではほとんど記されておらず、結婚後いかに皇帝が王妃マハルを愛し、二人が支え合ったかが記されており、それがかの有名な墓廟タージマハルになった。つまり、結婚までの恋愛の物語を重視するのか、結婚後の夫婦の愛を重視するかの違いが、物語のなかに象徴的に現れているわけだ。

アメリカ文化の影響をもろに受けている日本のドラマや映画も基本的にはシンデレラ型の恋愛至上主義、結婚後はどうでもよい型ストーリーだ。これが決して悪いとは言わないが、文化があまりにもワンパターン化したあまり、恋愛結婚至上主義がはびこっているように思えてならない。

日本にも結婚後を描いた素晴らしい作品はある。たとえば、「ツレがうつになりまして」(マンガを原作に映画化)などは名作だ。

「その健やかなるときも、病めるときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを助け、これを慰め…」

当たり前かのように唱えられる結婚式の誓約の言葉を噛みしめるその姿は、夫婦とは、結婚とは何かを考えさせられ、理想の夢物語ではなく、現実の中にある結婚と夫婦の素晴らしさを感じさせてくれる。


恋愛でもお見合いでも、結婚への形態は人それぞれだ。しかし、どちらにせよ、結婚は物語の終わりではなく、第二章の始まりである。ということで、恋愛至上主義はもうちょっと相対化して考えてもいいんじゃないでしょうか。

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学びのエバンジェリスト
本山勝寛
http://d.hatena.ne.jp/theternal/
「学びの革命」をテーマに著作多数。国内外で社会変革を手掛けるアジア最大級のNGO日本財団で国際協力に従事、世界中を駆け回っている。ハーバード大学院国際教育政策専攻修士過程修了、東京大学工学部システム創成学科卒。1男2女のイクメン父として、独自の子育て論も展開。アゴラ/BLOGOSブロガー(月間20万PV)。著書『16倍速勉強法』『16倍速仕事術』(光文社)、『マンガ勉強法』(ソフトバンク)、『YouTube英語勉強法』(サンマーク出版)、『お金がなくても東大合格、英語がダメでもハーバード留学、僕の独学戦記』(ダイヤモンド社)など。

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