アメリカはロシアを批判できる立場なのか --- 岡本 裕明

2014年07月23日 11:05

マレーシア航空撃墜事件以降、世論の展開はロシア、プーチン大統領への批判一色となりつつあります。プーチン大統領は彼なりの主張をしていますが、明らかに防戦となっています。ただ、私はこの動きは決してうまくない結果をもらたす気がしております。

まず、オバマ大統領の姿勢がいただけません。親ロ派に協力姿勢を見せていたロシアの責任は重大としてプーチン大統領を責めていますが、同じ理論ならオバマ大統領は親米派イスラエルのハマスへの圧倒的攻撃に対してどのような責任を取るのでしょうか? 死者の数についてはマレーシア航空の二倍近くに上る状況にあります。もともとイスラエルとハマスの調整をアメリカの要請によりエジプトが行っていましたが失敗に終わったことが現在の激しい状況をもらたしています。


こちらの方の問題は中東政策でほとんど機能しなくなったアメリカに元凶があるとみており、イラクでもイスラム国なるものが出現し、原油の不安定要素を作り上げたのはオバマ大統領の失策と姿勢にあったわけです。

となれば、今のオバマ大統領のプーチン大統領への激しい攻め込みは一つにアメリカへの非難の矛先を転じるものだと言えましょう。オバマ大統領は親ロ派がやったという確証を持っていると主張していますが、私はそこまで言い切った上でロシアを一方的に責めるのはブッシュ(子)のイラク攻めと同じトーンに聞こえてしまいます。

ではプーチン大統領はどう対処するのでしょう? 基本的には西側の包囲網が進めば自国の経済及び自身に対する信認の問題につながりますのでここは耐え抜くことになるかと思います。そしてある時点で状況が変わった時に中国との連携を図る可能性はあります。ただ、中国もロシアが世論からあまりに冷たくされれば中国への影響を考慮して計算高い習近平主席の対応もかなり注意深いものになるとみています。

読みづらいのは安倍首相の日本です。今秋にもプーチン大統領との首脳会議で北方領土を含む日ロ関係の発展的計画を企てている中で外交的にどうするか、ということであります。ロシアと日本の歴史を考えれるといわゆる日露戦争から戦前に至るまでロシアと日本の外交はロシアが西部に注力すればその反対側の東部が甘くなるという傾向が見て取れます。つまり、プーチン大統領にとってロシア西部で苦しむ以上、ロシア東部の交渉は安倍首相にとってやりやすいともいえるのです。但し、それに対してアメリカを中心とする外交関係の難しさとのバランスが出てくるでしょう。

ところで平和主義者オバマ大統領がロシアに対して厳しい姿勢を見せ始めたのがいつかと考えてみると私としてはエドワード・スノーデンのロシア亡命あたりからではないかと思います。オバマ大統領は当初からプーチン大統領が好きではなかったのは事実ですが、スノーデン事件以降、その嫌悪感は増したように感じます。だとすれば、オバマ大統領のプーチン大統領に対する姿勢が個人の感情に由来するところがないとは言い切れません。とすればどこかでその反動が来るような気がしてなりません。

私が心配性ということで済まされればよいのですが、今の世論のトーンに何か無理がかかっている感は否めない気がします。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年7月22日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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