資本構成と株式の価値

2014年07月29日 11:30

資本構成(キャピタルストラクチャ)というのは、企業(別に、事業でもいいが)のバランスシートの右側(資本負債側)の構成のことである。バランスシートの左側には、企業のキャッシュフロー創出の基盤となる資産が計上されている。資本構成は、その資産の保有を支えると同時に、資産が生み出すキャッシュフローの分配優先順位を定める仕組みである。


この分配優先順位については、バランスシートの上から順番に優先度が高くなるように、記述される。つまり、一番下の株式が、一番優先度が低い。さて、この優先度の一番低い株式が魅力をもつ場合というのは、どういうときなのか。この大切なことを検討せずして、なぜ株式投資が成り立つのか。

当然に、優先順位の高いものほど、より安全性が高い一方で、期待収益は低いということになるはずだが、優先順位の低いものは、リスクも大きいが、期待収益も高いということになるかどうかは、微妙であろう。そうなるためには、資本構成が適切に設計されていなければならない。その設計が適切でないなら、株式がハイリスクでハイリターンになるとは限らない。

このような優先順位を定める基準は、時間である。事業というのは、すぐにキャッシュフローを生むものではない。設備や在庫に投資をして、そこから売上げが立ってきて、初めてキャッシュフローが生まれる。資本構成の優先順位とは、この時間を経て生まれてくるキャッシュフローを、債権者や投資家に割り当てる順番のことをいうのである。

最初のキャッシュフローは融資の元利金の支払いに充当され、残りが社債の元利金へ、そして最後の残余が株式へいくのである。この優先順位があるからこそ、理屈上は、一時的な業績不振に陥った企業にも融資できるのである。事業キャッシュフローの不足を、定期利払いの必要のない株式等の資本構成の下位へ寄せることで、融資の利払いは確保できるからである。

事業が伸びてきて、キャッシュフローが潤沢になれば、融資等の資本構成上の優先順位の高いものに充当した後でも、豊かな残余が残る。その時点に達して初めて、資本構成の最下位にある株式にも、投資価値が生じるのである。

森本紀行
HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
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