日本人がこれから知っておくべき7つの「マネー・リテラシー」 --- 内藤 忍

アゴラ

これからの「マネー・リテラシー」(お金の知識)として必要なのは、どの株を買うかや、どの投信を選ぶかだけではありません。日本人が、これから知っておくべきお金の知識を7つのポイントにまとめてみました。


1.金融資産以外の実物資産に関する知識
資産運用は株式、債券、投資信託、FXといった金融資産だけでは、不十分です。金融資産と共に投資を検討すべきなのは実物資産。その代表は不動産ですが、それ以外にも金やワイン投資といった新しい投資対象があります。金融資産と実物資産を組み合わせたハイブリッド投資こそ、ベストなポートフォリオを実現する方法だと思います。

2.お金を借りる力の活用に関する知識
お金を借りる力を持っている日本人の多くは、その力をマイホームに使っています。しかし、このパワーを資産運用に活用している人たちが増えています。都心のワンルームマンション投資を20代からはじめ、少ない自己資金を借り入れで賄っている人たちです。お金を借りる力を自分の今の生活に使うのか、それとも将来の資産形成に使うのか。せっかく持っている力の活用法について知識があれば未来は変わります。

3.日本だけではなく、海外も含めた税金の知識
税金はグローバル化が進めば、国際比較が進み、お金に関する大きなテーマになることが予想されます。日本では来年からは相続税が課税強化されますが、世界を見わたすと相続税のかからない国というのが実は多いのです。すぐに日本の非居住者になることは非現実的かもしれませんが、各国の税の知識を持っておくことは、これからどこに住むのかを含めて極めて重要だと言えます。

4.マイレージやクレジットカードの知識
最近はマイレージやクレジットカードのポイントといった、貨幣ではない資産のウエイトが高まっています。貯まったマイルはどのように使うのがお得なのか。クレジットカードはどれを選んだら良いのか。非貨幣的な情報を知っておくことも、お金の知識に入るようになってきているのです。

5.外貨でお金を使う時の知識
海外に出かける人にとっては、外貨の調達は頭の痛い問題です。通貨が違えばそれぞれの国で両替しなければならない。実は両替の手数料は場所によって大きく異なるのです。どの通貨をどこでどのように交換するのがベストなのか?意外に無頓着な人が多いようですが、頻繁に海外に出かける人にとって情報としては極めて重要です。

6.新しい決済手段に関する知識
ビットコインに代表される「仮想通貨」に対する関心は世界的に高まっています。キプロス、ウクライナといった国家の信用が低下した国において、自分の資産を守る1つの方法がこの仮想通貨なのです。日本がすぐにキプロスやウクライナのようになるとは思いませんが、銀行やカードだけではなく、新しい決済手段についても知識を持つことは大切だと思います。

7.寄付や支援のためのお金の使い方の知識
自分のお金を人のために役立てる。寄付をしたり、資金支援といった機会はこれからどんどん増えていきます。しかし、どんな団体にどんな形でお金のサポートをするのが良いか。そこには知識が必要になります。寄付した団体がお金の無駄使いをしていた、自分のお金が世の中の役に立たない方法に使われてしまった……。そんなことに無いようにしたいものです。

毎月発売されている日本のマネー誌を見ると、未だにどんな日本株を買うか、ふるさと納税の活用、毎月分配型投信のランキングといった、国内に目を向けた特集が目につきます。お金との付き合い方は、日本国内の投資だけではなく、もっともっと広い視点で情報を集めていく必要があると強く感じます。

編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2014年8月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。