「ハト派」が戦争を誘発する

池田 信夫

慰安婦問題の経緯を振り返ると、韓国で元慰安婦を募集して「放火」したのが高木健一弁護士、それを大々的に報道して日韓関係に「延焼」させたのが朝日新聞、そしてこれを謝罪して日韓関係を「全焼」させたのが宮沢首相・河野官房長官だった。おまけにこの話が国連で取り上げられたとき「消火」を妨害したのが、村山内閣の河野外相だった疑いがある。


彼らの共通点は「日本が戦争犯罪を全面的に謝罪すれば日韓関係は改善する」と考えているハト派だということである。これは日本がアウシュヴィッツのような戦争犯罪を朝鮮でやったのなら正しいが、当時の朝鮮は日本の領土だったのだから、戦争犯罪はできない。そこで左翼が強制連行やら慰安婦やらのガセネタを持ち出したわけだ。

とりあえず謝れば相手もわかって水に流してくれると考えるのが日本人だが、相手は日本人とは違う。「政府として謝罪したのなら国家賠償しろ」という話になる。国家賠償を根拠なくするわけにはいかないから、証拠を調べると何も出てこない。そこで「証拠がない」といえばいいのに、河野談話で「官憲の強制があった」と嘘をついてしまったので、火は世界中に広がった。

その意味で日韓関係を悪化させた元凶は、朝日新聞から宮沢・河野ラインに至るハト派である。彼らが嘘の種をまかなければ、韓国政府は賠償要求も反日キャンペーンもできなかった。相手に喧嘩の武器を与え、こっちが武器を捨てたから、果てしない(しかも日本が一方的に叩かれる)戦争が起こったのだ。

ここからいえることは、朝日新聞のような平和主義が戦争を誘発するということだ。韓国や中国は「話せばわかる」国ではない。日本が1歩譲歩したら、彼らは1歩攻撃してくる。その攻撃を防ぐためには、正しい主張はゆずらないで交渉し、世界に日本政府の主張を伝えるしかない。安倍首相は外務省にまかせないで、官邸に慰安婦問題についての対策・広報チームをつくるべきだ。