米10月新車販売台数、堅調の陰でローン期間は過去2番目の長さ --- 安田 佐和子

アゴラ

米10月新車販売台数は、9月に続きビッグ3のうちフォードのみ減少した。ガソリン価格の下落、ペントアップ・ディマンド、そしてサブプライム層のローン緩和もあってトラックやスポーツ多目的車(SUV)、そのほか高級輸入車が引き続き好調。もっとも、セダンの一部では減速の兆しがみられた。

オートデータが発表した米10月新車販売台数は、前年同月比6.1%増の128万台と市場予想の127万台とほぼ変わらずとなった。年率では1646台と、市場予想の1649台および9月の1640万台に近い数字に。2006年1月以来の高水準を達成した8月の1750万台からは、減速したままだ。なお米自動車情報サービス会社エドマンズ・ドットコムは、2014年販売台数につき「1640万台」を予想。2006年の1650万台を超えていくか、注目だ。

エドマンズ・ドットコムによると平均の新車ローンは67ヵ月、約5年半で過去2番目の長さを記録。同社シニア・アナリストのジェシカ・コールドウェル氏は、「購入者にとって毎月の支払いが自動車価格より重荷になってきている」とのコメントを寄せた。

以下、ビッグ3をはじめメーカー別動向。

GMは前年同月比0.2%増の22万6819台となり、2007年以来の水準へ加速した。ブランド別をみるとシボレーは0.5%増の15万5965台だったものの、小型車「クルーズ」が51%増とけん引したほか、トラック「シルバラード」も10.1%増だった。ビュイックは6.5%増の1万8699台となっている。ただしGMCは0.8%減の3万8450台だったほか、高級車のキャデラックは8.0%減の1万3615台と落ち込みが激しい。GMは2014年見通しにつき従来予想の1600万~1650万台のレンジ上限で保ち、2007年以来の高水準となる見込みだ。

フォードは1.7%減の18万8654台だった。ブランド別ではフォードが2.7%減の17万9771台となり、特にセダン「トーラス」が40%減だったほか、「マスタング」も34.0%減と弱い。また「Fシリーズ」も0.6%減と、生産縮小を背景に減少した。小型車「フュージョン」のみ、6ヵ月連続で単月ベースの過去最高を達成している。大型SUV「エスケープ」は単月で最高、「エクスプローラー」は2004年以来で最高だった。リンカーンは24.6%増の8883台と、前月に続き7年間で最も強い伸びとなった。

フィアット・クライスラー・オートモビルは、21.7%増の17万480台だった。前年比プラスは55ヵ月連続を迎え、単月ベースでは2005年以来で最高を達成。特にSUVジープが46%増と好調を維持し、過去最大を記録している。5ブランド別でも、前月に続きクライスラーとドッジ以外は全て増加していた。

日本車をみると、トヨタが前年同月比6.9%増の18万580台となった。ブランド別ではトヨタが7.5%増の15万7225台と引っ張っており、レクサスも2.8%増の2万3355台と2桁増から減速している。

ホンダは、5.8%増の12万1172台だった。ブランド別ではホンダが5.5%増の10万5745台と、単月では2007年以来の水準を回復。アキュラは7.9%増の1万5427台と減少トレンドにブレーキを掛けている。日産は、13.3%増の10万3117台と単月で過去最高をマーク。ブランド別では日産が14.9%増の9万4072台とけん引した半面、インフィニティは1.2%減の9152台だった。

高級車部門別では、BMWグループのうちMINIを除く「BMW」ブランドが前年同月比11.0%増の3万602台と1位を奪取した。5—6月以来、年初来で3回目の王座を獲得。年初来でも12.0%増の26万7193台と、宿敵であるダイムラーの「メルセデス・ベンツ」を抜き去りトップに立った。

2位の「メルセデス・ベンツ」は、4.9%減の2万8593台だった。ただし単月ベースでは過去最高となっている。1-4月、7-9月まで首位を維持していたが、10月はBMWに後塵を拝するかたちとなった。年初来でも6.8%増の26万1804台と、1位から陥落している。

3位はレクサスで2.8%増の2万3355台、4位はGM傘下のビュイックで0.2%増の1万3615台だった。5位のフォルクスワーゲン(VW)傘下の「アウディ」は16.5%増の1万5150台と、単月ベースで46ヵ月連続で過去最高を更新。年初来では14.7%増の14万6133台と、こちらも過去最高を塗り替えた。

10月版:自動車メーカー別のシェア

gcbc
(出所:Good Car Bad Car)

その他の海外メーカーではアウディを除くVWは7.8%増の3万313台と、13ヵ月ぶりに増加した。小型車「ゴルフ」が過去最高の101%増の2351台と、けん引している。ヒュンダイは6.0%減の5万81台だった。

▽10月新車販売台数、ブランド別ランキング

1位 カムリ(トヨタ) 13.8%増の3万3164台

2位 アコード(ホンダ) 7.9%増の2万7128台

3位 カローラ(トヨタ) 10.3%増の2万4959台

4位 クルーズ(シボレー、GM) 9.7%増の2万4289台

5位 シビック(ホンダ) 1.2%減の2万4154台

6位 アルティマ(日産) 3.4%増の2万3544台

7位 フュージョン(フォード) 6.2%増の2万2846台

8位 ソナタ(ヒュンダイ) 4.6%増の1万5563台

9位 ジェッタ(VW) 4.6%減の1万4607台

10位 フォーカス(フォード) 6.8%減の1万3733台


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年11月3日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。