今年「一人勝ち」だったアメリカの来年は? --- 岡本 裕明

2014年12月29日 19:42

世界経済が低空飛行となっている中でアメリカが一人(一国)気を吐いた点については多くの方が同意するかと思います。詳細を見ればきりがありませんがアメリカの一人勝ちであったことは間違いないと思います。

ただ、私は「経済」という観点と「今年は」という所に力点を置きたいと思います。


先ず、経済の最大の成功点はFRBが量的緩和を無事、終了し、来年のしかるべき時期に利上げを行うであろうという市場筋の期待感を刷り込ませながらもクリスマス前にはダウが18000ドルを超える活況を呈したという事であります。FRBの運営の難しさとは基軸通貨のドルのハンドルさばきを間違えれば一発で大事故につながるという怖さであります。私は再三、その点を指摘してきましたが、少なくともイエレン議長のテクニックはうまい、と思っています。

一つ、気をつけなくてはいけないのはドルの基軸化が強化されればシーソー関係にある他通貨は弱含み、結果として他国の物価水準を引き上げ、世界景気の減速感を強めることになります。私が気になっているのはドルのレパトリ(本国回帰)であり、本国に帰ってきた資金がだぶついた結果、株式などに資金が回るという構図ができてやしないか、という事であります。

また、サブプライムの自動車ローンについてもそういうところに資金が流れるほど運用難になってきている、とも言えるのです。今年は1600万台の販売が確実視されており、来年は1700万台だという声も出ていますが、これは休み休みにしてほしい、と思っています。

実は私事ですが、カナダ法人の投資部門で融資していたバンクーバー郊外のある不動産事業が「ほかに資金手当てがついたから全額前倒し返済したい」という非常に珍しい早期完済を申し出てきました。この物件は当方の貸し出し条件はかなり「お安め」の条件だったのですが、それを上回る条件(つまり低金利)でリスクを取る人が現れたのか、と思うと資金のだぶつきを思わず感じないわけにはいきません(カナダとアメリカは資金がかなり自由にやり取りされます)。

今年のアメリカの景気回復に拍車をかけたのがシェールブームでした。これは関連産業や周辺地への経済波及を含め、大きなサポートとなったはずです。また、アメリカが石油を自前とし、コスト低下から輸出産業を育成するというシナリオも一年前に大きく掲げられていました。

ただし、ここからはそんなにすんなりとは問屋が卸さないかもしれません。まず、輸出産業って何でしょうか? まさか、繊維や家電や車ではないでしょう。今、アメリカからしか輸出できないものがどれだけあるのか、疑問が残ります。資源や食糧は土地にヘッジしたものでありますが、工業製品は世界のどこでも作れるという特性を考えればアメリカで作る理由は見つかりにくいと思います。

アメリカの最大の問題は政治であります。大統領と議会の激しいぶつかり合いが1月から本格化します。大統領のやろうとしていることがことごとく反対され、議会は大統領が反対することを押し通そうとしています。挙句の果てに共和党は大統領の権力乱用で訴訟する準備ができていることから国内政治問題は当面進捗を見ない可能性があります。

つまり、政治がボロボロになりつつあるアメリカが本当に一人勝ちなのか、といえば疑問符がついてしまい、私が冒頭「経済は」「今年は」と断りを入れたところにつながります。

では、2015年は全然希望がないのか、といえばそんなことはありません。石油価格についてはサウジが手綱を緩めない姿勢を示していますが、2015年のしかるべき時期に石油価格は大きく反転し急騰するという見立てをしています。石油価格の必要以上の下落は一部の国(日本や中国)にはメリットがあるとされますが、一般的には面倒なことになります。目先ベネズエラの動きだけは要注目となります。

また、2015年の最大のテーマはIoT(Internet of Things)となるはずで、これについては日を改めてトピを立ち上げますが、この分野のアメリカの強さは目を見張るものがあると思います。日本はこれにフォローする形となるでしょう。

2014年がアメリカの一人勝ちだったか、といえば何をもってそれを言うのか次第でありますが、さほど異論はないでしょう。ヨーロッパ勢もアジア勢もそして、プーチン大統領もすっかり「元気の素」を抜かれた中で、アメリカが笑ったという事になりますが、ただアメリカ人の誰が笑ったのか、その象徴すべき顔が見えないところが一番不気味ではあります。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年12月29日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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