今、再び慰安婦問題

2015年02月05日 13:49

慰安婦問題はどうにも収まりがつかないようです。しばらく静かだったのですが、今年に入ってアメリカのマグロウヒル社の教科書に慰安婦に関して第二次世界大戦中に、日本軍が約20万人の14~20歳の女性を連行し、慰安婦として徴用したと記述されたことに対して安倍首相ががくぜんとしたと述べ、「訂正すべきことは訂正すべきだと発言してこなかった結果、米国でこのような教科書が使われている」と指摘しています。


更にアメリカの日系議員のマイクホンダ氏が韓国系アメリカ人に呼びかけて慰安婦問題をワシントンに向けて発信させようとする動きを見せていますし、2月4日付で氏がケリー国務長官宛レターが発出されています。レターには日本政府の慰安婦に対する謝罪はvehemently disagree(激しく不同意)としています。

また、ニューヨークでは慰安婦をテーマにしたミュージカルが7月に上演されることになっています。

朴槿惠大統領は慰安婦問題に引き続き執着している中、日韓国交回復50周年に当たる今年、今のところ、盛り上がりはほとんどありません。

本件については日本側の言い分は概ね一定方向で固まっています。つまり、

一部では軍部の前線で関与したものもあったようだが、基本的には業者がそのビジネスをおこなっていたこと
戦中の慰安婦の数が正しく把握されたものはなく、データにより大幅な振れ幅があるが、少なくともマグロウヒル社の教科書のような事実ではないこと
慰安婦と工場などで働く女子挺身隊がごっちゃになっていること。
慰安婦に軍部による強制連行の事実があったという証拠がいまだに出てこないこと

が主なるポイントかと思います。これに対して各方面から様々な反論があり、日本だけが一方的な防戦状態であるというのが実情かと思います。

私はこの問題に対してある疑問があります。

正確な事実関係を今となっては判明させることが難しくなっていないだろうか
一定の事実以上のことはこれ以上議論しても水掛け論ではないだろうか(特に数字を伴うものは誰もなんら確証がない点は重要であります。)
それ以上に重要なのは戦中の慰安婦は韓国人女性だけがさせられたというイメージが付きまとっているが、日本人の慰安婦の方がはるかに多かった事実がほとんど出てきていないのではないか
慰安婦の像は日韓の歴史問題の象徴とされているが、この問題を因数分解すると本来の慰安婦への反省と日韓の政治的問題を掛け合わせてしまっていることで問題を複雑化させてしまっているのではないか

であります。

水掛け論で日本が不利な立場になっている理由の一部として国連人権委員会のクマラスワミ報告が決議、採択されていること、韓国側からの「数の論理」と声の大きさに押されがちであること、アメリカ、オーストラリア、オランダ、カナダで採択されている謝罪要求決議など世論が一般的に反日本的立場をとっていることが挙げられます。

日本ではもちろん、昨年の「朝日新聞の決断」をはじめ、一部の声は非常に強いのでありますが、日本の世論までを持ち上げる状況に至っていません。

思うに慰安婦問題そのものが正面切って取り上げにくい性格のものであり、日本の行動の誤解を解く為の論戦が歴史修正や慰安婦の正当化と曲解されやすく、声を上げれば上げるほど押し込められる状況にあるように思えます。

例えばカナダの謝罪要求決議を見るとto abandon any statement which devalues the expression of regret from the Kono Statement of 1993 となっており、河野談話よりその位置づけを引き下げることは許されないというのが実情であります。

こうなるとここは細部にわたる事実関係の調査は引き続き行うとしてもそれを主題とせず、大所高所から事実の部分のみを受け止め、政治的圧力をかわすべき方策に出た方が得策ではないかと考えます。つまり、慰安婦問題が日韓の特有の問題とみなされている事実から日本人の慰安婦もいたこと、アメリカ、ドイツ、ロシアをはじめ、同様の制度は戦中他の国にも存在していたことを鑑み、悪しき過去を日本を含む主要国がリーダーシップをとって見直し、今後このようなことが起きないよう働きかけていくリポジショニングができないかと思うのです。

例えばいわゆる慰安婦の像は日本も参加する世界共通のデザインで新たに作り、特定国対象のシンボルではない「女性人権尊重の像」の建立を推進するといった案があるはずです。

まさに国連を使い、逆手を取る手法でありましょう。本件をもって政治圧力とされること自体が不愉快であり、日本のイメージを世界で悪化させることは許しがたいことであります。YES-NOのぶつかり合いではなく、この盛り上がりを契機にうまく日本側の真摯な精神論が評価されるよう、切り口を変え世界の同調をとることが私には必要だと思っています。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

岡本裕明 ブログ 「外から見る日本みられる日本人」2014年2月5日付より

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