中国人民銀行は4日、預金準備率を50bp引き下げました。銀行業界全体を対象としており、2012年5月以来の措置。今回の変更を受け、大手銀の預金準備率は20%から19.5%へ引き下げられます。2014年11月のサプライズ利下げに次ぐ緩和策を通じ、人民銀は「経済安定を支援する」との見通しを示していました。預金準備率の引き下げを通じ、6000億元(11兆2800億円)が貸出に振り向けられる余地を残します。
中国では、あらためて景気減速懸念が台頭中。2014年の中国・国内総生産(GDP)が7.4%増と2013年の7.7%増以下にとどまったほか、1998年以来初めて政府目標(7.5%)以下に終わっていました。また、2014年11月に利下げを断行した当時のように製造業・サービス業のセンチメントが下振れ。中国1月製造業購買部協会景気指数(PMI)は49.8と2012年9月以来景気判断の分岐点50割れを示現したほか、中国1月HSBC製造業PMIも2ヵ月連続で50を割り込んでいました。中国1月HSBCサービス業PMIも51.8と2014年7月以来の低水準とあって、政策対応を余儀なくされたかたちです。
ニュー・ウェッジのラリー・マクドナルド氏は、結果を受けCNBCにて「信用の伸びを警戒していたスタンスから一変させた」と指摘。ハト派寄りのスタンスを鮮明にしたとの見解を示しています。これまでの投資依存の成長から消費へ成長の軸足を移すなか、背に腹は変えられなかったのでしょう。オーストラリアが利下げで世界金融緩和ラッシュの輪に飛び込んだ直後、世界第2位のGDPを誇る中国も決断を余儀なくされたかたちです。
(カバー写真:3news)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2015年2月5日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。