自民党のメディア対応は“韓国並み”になるな

新田 哲史

どうも新田です。産経新聞の前ソウル支局長、加藤達也さんが昨日、8か月ぶりに韓国政府からの“軟禁”を説かれて帰国されました。この間のご本人、ご家族の心労をお察しします。本当におつかれさまでした。改めてお見舞い申し上げるとともに、体を張って、かの国が「なんちゃって民主主義国家」であることを世界に明らかにした、加藤さんのジャーナリストの功績に心より敬意を表します。


もっとも、ライバル紙である読売の記事を読みますと、「落としどころ」を探ったような形跡があるそうで、獄にぶち込まれる覚悟で闘う路線もありだという強硬論や僅かな批判も出てくるかもしれませんが、民度と法治レベルがあの程度の国を相手にするのは時間の浪費で、現実的に対処してもいいと考えます。

まー、改めて思いますが、イスラム国や北朝鮮のような極道国家ならいざ知らず、中国やロシアでもいまどき、特派員が仮に最高権力者のプライベートな噂話に関する現地メディアの引用を、しかも特派員の母国向けに母国語で書いた記事に載せただけで、G7諸国の有力メディアの記者を犯罪者扱いして長期拘束したら大騒ぎですからね。軍事政権時代にソウルの特派員をされていた記者の大先輩の方に昔日の話を聞いたことがありますが、70年代は時の政府の胸先三寸で各新聞社の支局が閉鎖されなかねない空気があったらしく。

その意味では、この40年近く、韓国の民主主義のレベルは大して進歩していなかったのでしょうね。16年前、ソウルと板門店の観光に行って平和ボケした日本では決して味わえないミリタリー巡りの貴重な体験もしましたが、もういいや、二度と行きたくないわ、あんな国。

とりあえず、「人質」にとられていた加藤支局長が無事に帰国されましたので、日本国内のアンチ韓国派がさらに勢いづくとは思うのですが、奇しくも同日、日テレがこんなスクープを流しており、かの国の民主主義の未成熟ぶりを嗤えない気もします。

※NHKとテレ朝の幹部が呼びつけられる自民党本部(筆者撮影、13年12月)
131204自民党本部

自民党 NHKとテレ朝の幹部を呼び聴取へ
自民党が17日にNHKとテレビ朝日の経営幹部を呼び、最近問題となっている報道番組の内容をめぐって、直接、事情を聞くことが分かった。

 複数の関係者によると、自民党の情報通信戦略調査会は、NHKからは「クローズアップ現代」でヤラセが指摘されている問題について、また、テレビ朝日からは「報道ステーション」でコメンテーターの古賀茂明氏が一方的に政権批判したことについて、話を聞く方針。特に「報道ステーション」をめぐっては、古賀氏が菅官房長官を名指しして「バッシングを受けた」と一方的に述べる展開となった点などについて、第三者も加えた検証の必要性などをただすものとみられる。

まー、もちろん自民党の先生方がいきり立つ理由は分かりますし、公共の電波を預かっている局に発生した疑義としては小さな話じゃないんで、社会的にはきちんと検証されるべき話ですよ。NHKは、天然炎上キャラの会長がいろいろとやらかしているところへ、報道の看板である「クロ現」で不祥事が取りざたされ、テレ朝は古賀さんの「電波ジャック」を止められなかったことは見世物としては面白いとかいう以前に放送法で定める政治的中立性を揺るがしかねません。

しかし、そんなことはBPOとか他のマスコミや有識者などの「外野」の議論・検証に任せて自浄作用させときゃいいんですよ。報道機関に何かあって抗議するのは広報対応の範囲内としても、政権与党の権威を使って幹部をつるし上げにするのは行き過ぎ。

官邸がもしも同じことをやったら露骨すぎるので、ある意味、党本部がクッション的に「代役」を敢えて務めているのかもしれないけど、調査会の席で安倍さんに気に入られようとする若手議員がギャアギャア騒いだら、「横綱政党」にふさわしい品格が揺らぐのではないかと感じます。先の統一選で四半世紀ぶりに過半数を確保し、政権交代可能な野党も存在しなくて、向こう十数年は政権から落ちるワケ無いんだから余裕もってほしいんですが。サヨ路線に転落した落ち目の元官僚のヒステリックな発言に目くじらを立てるなんて、それこそタカ派の先生方が批判されてる韓国と“同等”に陥りかねませんよ。何人か親しい先生方や秘書さん、尊敬している方もいるだけに最近の余裕の無さが残念に思います。

歴代の横綱に例えれば、朝青龍みたいに吠えまくって「品格」が取りざたされる的な。もう、絶対王者なんだから、千代の富士とか貴乃花などの大横綱のように悠然としていただきたいものです。ではでは。

新田 哲史
ソーシャルアナリスト/企業広報アドバイザー
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