樋口英明裁判官の知らない「法の支配」

2015年04月15日 02:07

高浜3・4号機の再稼動差し止めを求める仮処分申請で、きのう福井地裁は差し止めを認める命令を出したが、関西電力はただちに不服申し立てを行なう方針を表明した。昨年12月の申し立てから1度も実質審理をしないで決定を出した樋口英明裁判官は、4月の異動で名古屋家裁に左遷されたので、即時抗告を担当するのは別の裁判官である。


この樋口裁判官は、昨年5月にも史上最大の地震が来たら危ないという荒唐無稽な理由で、大飯3・4号機の再稼動を差し止める判決を出した。史上最大の地震が高浜に来たら、原発どころか福井県が全滅して何万人も死亡するだろう。それが「人格権の侵害」だというなら、福井地裁もただちに職員が全員退去すべきだ。

今回の仮処分決定は、さらにお笑いだ。ロイターによれば、彼は原子力規制委員会の新規制基準の基準地震動について「緩やかすぎて、これに適合しても原発の安全性は確保されない」と断定して、規制基準を否定した。これは原子炉等規制法違反である。

基準地震動は各地域の地質調査をもとにして、公聴会や事業者のヒアリングが行なわれた上で委員会が決定する。これが「緩やかすぎる」というなら、それを示す地質データを出して異議申し立てを行なうことは可能だ。

そういう手続きを全部すっ飛ばして「史上最大の地震は基準地震動より大きい」などという理由で規制基準を否定することはできない。そんな決定ができるなら、世界中の原発が(裁判なんかするまでもなく)すべて運転差し止めだ。

炉規制法で停止命令を出せるのは規制委員会だけであり、それは重大かつ緊急な違法行為があった場合に限られる。あの菅直人でさえ中部電力に「お願い」して浜岡原発を止めさせたことでもわかるように、国が法的根拠なく民間企業の財産権を侵害できないのだ。それが樋口裁判官の知らない法の支配という憲法の大原則である。

高浜については(川内と同様に)まだ工事認可や保安規定認可、地元の合意、使用前検査などの手続きに1年ぐらいかかる。それまでには――樋口のような変な裁判官が担当しない限り――この決定は取り消されると思われるので、大した実害はないだろう。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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