総務省デジタルサイネージWG --- 中村 伊知哉

総務省が「2020年に向けた社会全体のICT化推進に関する懇談会」の下にデジタルサイネージWGを設け、サイネージの整備策を集中検討しています。ぼくが座長を務めます。詳細は非公開ですが、初会合での感想を記しておきます。


2020年に向け、4K8K多言語防災サイネージネットワークを整備するのが施策の柱です。
災害時の情報提供、多言語化をいかに進めるか。コストに見合わない公益性の高い対応、すなわちインフラとしての整備をいかに進めるか、が論点です。
2020年に、平常時の観光案内・大会情報、非常時の災害情報を多言語で提供するには、2017年には規格・技術が見えている必要があります。実は時間がないのです。
東京都が昨年末に発出した長期ビジョンでも、サイネージの整備と多言語対応が強調されています。都としても力を入れてくださるよう、お願いします。
アジアもスマホ+wifi利用に急展開しています。多言語対応も災害対応もそれが中心になります。サイネージとスマートメディアとの連動が重要です。そもそも、スマホ、サイネージ、テレビといった区分が無意味になってますよね。
ロンドン五輪では、英国全土70会場のパブリックビューイングが設置されて800万人が見たとのことです。BBCはネット配信で1億回以上の視聴があったとか。さて、2020年、日本ではどこまでを目指しましょうか?

そこで、三菱地所、森ビル、三井不動産のサイネージ対応を聞きました。こういう方々とのメディア対応を総務省で聞くのは新鮮です。街とメディアは、ユビキタスの実装。サイネージだけでなく、IoTの観点からも重要です。
イオンチャンネルは計1300台で、レジを通過する客5億人の89%が認知するとか。自販機サイネージも数百台配置しているそうです。大きな全国メディアですね。
三菱地所の丸の内ビジョン90台は、世界初のデジタル・ハイビジョン・サイネージとして有名。3.11の際、9分後に全面的にNHKに切り替え、夜通し切らずに一週間運用(えらかった)。3.22から節電対策で電源オフに(くやしい)。
森ビルのヒルズビジョンは、六本木、赤坂、虎ノ門等にまたがって650面あるそうです。これも大きいです。
三井不動産、東京ミッドタウンのサイネージは、4ヶ国語対応のタッチパネル。よく外国人がさわってますよね。ああいうのを街にも配備できるかなぁ。
ところで、50年前の東京五輪で、非常口や男女トイレのサイン=ピクトグラムができました。2020年に向けて、新しいピクトグラムを作っていくという提案あり。やりましょう!

なお、会議ではペーパーを排し、資料はタブレットに。「初の試みで、電波の不具合で画面フリーズの可能性も」と事務局。総務省本省で電波が不具合なら即ツイート!と心待ちにしたんですが、無事でしたw


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2015年6月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。