安保法案は憲法違反なの?

2015年06月06日 10:49

ref_l今週ひらかれた衆議院の憲法審査会で、自民党・公明党の推薦した長谷部恭男さんが「安保法案は憲法違反だ」と発言して、大混乱になっています。

安保法案というのは、日米安保条約にもとづいて集団的自衛権を行使するもので、これは与党が出したのだから、その立場で話すと思ったら逆になり、参考人3人がみんな反対になってしまったわけです。

憲法学者の立場から考えれば、安保法案どころか自衛隊も安保条約も憲法違反です。憲法第9条2項では「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と明確に書いているので、戦力はもてない。「国の交戦権を認めない」と書いているので、日米が協力して戦争する安保条約も憲法違反です。

政府見解では「自衛隊は戦力ではなく、自衛のための必要最小限度の実力だ」ということになってますが、意味がわかりません。戦力じゃないのに、なんで戦車をもってるんでしょうか。ミサイルは戦争以外に使い道があるんでしょうか。歴史上の戦争はほとんど「自衛のため」に行なわれたので、そんなことはいいわけになりません。

よい子のみなさんでもわかるように、自衛隊は世界第5位の戦力をもつ堂々たる軍隊です。自民党も野党もそれをあいまいにし、解釈を変えてなし崩しに自衛隊や安保条約を認めてきました。それを長谷部さんが空気を読まないで、ひっくり返したわけです。

野党は大喜びしてますが、安保法案が憲法違反だというなら、自衛隊も安保条約も憲法違反だから「自衛隊を解散して安保条約もやめる」という法案を出すべきです。逆に自衛隊や安保条約が必要だと認めるなら、憲法を改正しないといけません。要するに

 ・憲法を改正する
 ・自衛隊を解散する

のどっちかしかないのです。この中間の「憲法違反だけど解釈で歯止めをかける」というのは「スピード違反だけど見逃す」みたいなごまかしです。交通ルールぐらいならいいけど、憲法違反を70年も見逃すと、法律をいいかげんに扱うくせがついて、よい子の教育にもよくありません。

常識的に考えて、自衛隊や安保条約を全部なくせという国民が多いとは思えないので、憲法を改正するしかないでしょう。この際、今まであやふやにしてきた問題を与党も野党もまじめに議論してはどうでしょうか。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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