ウソをつく採用

2015年06月11日 22:00

最近、新卒採用に関する記事を眼にすることが多くなりました。ところが多くの方は企業の採用活動の本質を知りません。まず企業の採用活動は「広報期間」と「選考期間」の2つに分けられます。


●広報期間が重要である理由

なぜ広報期間が重要なのか?それはテレビCMや新聞広告を見れば分かりやすいでしょう。広報とは自社を消費者(お客様)に効果的に宣伝する機会です。採用の広報期間も同じことが言えます。企業にとって、学生は採用対象者であると同時に、広報対象者である消費者(お客様)だからです。採用活動は、実質は広報活動であり、学生に与えられる情報は「学生を吸引するために意図的に用意された情報」であることを理解しなければいけません。

選考に入る前の広報期間中は、どんな学生にも丁寧に対応してくれるはずです。それは学生が企業にとってお客様だからです。A社という食品メーカーがあったとします。A社が「当社は、旧帝大、早慶や有名国公立大学以外は採用しません」と公表したら、当該大学以外の学生は、A社の商品を買わなくなってしまうかも知れません。実際には学歴フィルターがあっても企業はその事実を認めないでしょう。

●採用広報という考え方

一般的に会社説明会は、企業にとってCMや広告と同じ、いや、それ以上の宣伝効果を得られる場として捉えられています。例えば、化粧品や食品メーカーがテレビCMをつくるとき、まず企画を練ってキャスティングをして制作に入ります。放映の時間帯や回数にもよりますが億単位の膨大な予算が投下されることになるでしょう。テレビCMの時間は短いもので15秒。長いものでも30秒が一般的です。

ところが採用広報はどうでしょうか?会社説明会を開催すれば入社希望の学生が、企業が用意する場所に足を運んでくれます。誰に言われるまでもなく丁寧に詳しく企業研究までしてくれます。テレビCMはたったの15秒か30秒ですが、会社説明会は2時間が一般的です。会社説明会は、集まった学生に対して、2時間も広報できる貴重な機会なのです。ですから、企業は採用広報を重視します。学生向けの入社案内やHPには容姿端麗な社員がファッション雑誌に登場するかのごとくメイクアップを施されて登場します。台本は全て決められており「自己実現」「やりがい」「夢・希望」などのキーワードが並びます。

●狡猾さを身につけて強かになること

内定を取得するにあたって必要なことは、小手先のスキルを磨くことではありません。就活に対して狡猾になり臨機応変に対応することです。最近、エントリーシートは「手書きが良いかパソコンで作成したものが良いか」が議論になっていましたが、自筆のエントリーシートであることが評価をされて内定が取得できたケースを、私は聞いたことがありません。

エントリーシートは、まず読まれることがありませんから、パソコンで作成して内容もコピペのものを業種別に用意しておくことが得策です。手書きだと丁寧に見えますが単にそれだけのことです。手書きにすることで労力以上のメリットを獲得することはできません。いずれにしても就活が短期決戦であることは間違いありません。短期決戦で競合に勝つための戦略と戦術を考えましょう。「競合を具体的にすることが戦略」で「戦略を具体的にすることが戦術」です。最短で効果的なプランを考えることが肝要です。なお本項で紹介した内容の多くは、中途採用にも通じるものです。本質は変わりません。

尾藤克之
経営コンサルタント
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尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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