株式市場はサマーラリーを享受できるか?

日本の株式市場が注目されています。このブログがアップされる10時までには日経平均が今世紀最高値20833円を上回るかもしれないと思っていましたが、朝一で更新しました。

先週木曜日の20000円割れでチャート的には6月10日の20016円とのW底で下値確認し、金曜日から急速に買い上げられています。信用売り残が積み上がっていますから、これ以上騰勢を強めると売り方の買い戻しを誘い、短期的には加速度的に上昇する可能性があります。

背景はいろいろですが、一つには中国の上海市場の株式が休み明けの火曜日は比較的落ち着き、買戻しが入ったこと、それとギリシャに対する楽観的な報道が流れたことでしょうか?このあたりはこの数日の本ブログでも指摘していたと思いますし、日経平均が20000円を割って大きく売り込まれる状況にはないと書かせていただきました。大体その流れになっています。

中国の株式市場はまだ崩れないとみています。理由は市場への新規参入者があまりにも多く、買い方が圧倒していることでちょっと下がったらバーゲンだと考えている節があります。彼らは経済計算や株価分析などなく、ノリで買いますから市場が騰勢を強めればもっと強くなる好循環となってしまいます。

逆に言うと日本や欧米の成熟市場の人からすれば全く道理に合わない株価ですがそれはまだ大やけどを負っていないことでロシアンルーレットの恐ろしさを知らないともいえます。日本はバブルの時PERで60倍ぐらいまで買われていたわけですから単純計算で今の日経平均を基準にすれば75000円まで買い上げていたという事になります。それを考えれば中国の株式市場は2007年につけた6000には遠く、まだ史上最高値には達していないわけでまだ弱気になるレベルではない気がします。

日本の様に成熟市場においては21000円を超えてくれば企業業績との比較になりますのでそう簡単に株価が飛ぶことはないかもしれません。PERで見れば現在の16倍台は良しとしても年末までの高値予想である22000円に達するには何か特別な力が必要かもしれません。

株価を支える一つの可能性がインフレ傾向かもしれません。日本もアメリカもインフレ率が高まらず苦労しています。そのキーの一つに原油価格の動向があります。私は今のNY市場における60ドル程度は心地よい水準でこの先はなかなか上がらないと思っていましたが、当地の銀行のアナリストが2016年は70ドルという予想を出し、考え直しています。それはアメリカのシェールガスの生産は今後も調整が継続するという予想を根拠としています。

シェールは一本の油井の寿命がせいぜい数年と短く、高採算の油田を持っていてもいつまでもそこから油が取れるわけではありません。つまり、シェールの開発業者は次々とリグを稼働させなくてはいけませんが、そのリグ数は6月初めで631基と28週連続減、ピークだった1600リグは夢の彼方であります。また、アメリカがシェールで盛り上がりましたがいわゆるシェールバブルであったわけでこの状態が続けばアメリカのシェール生産量は今後も低減し、結局、中東のオイル需要が復活するというシナリオなのでしょう。

インフレ傾向が明白になれば企業は価格引き上げを敢行しなくてはならず、そこで淘汰が起きることで企業体質がより強まることになります。また、日本は海外からの買い付けで中国などに買い負けしている第一次産品もあり、輸入価格が円安に上乗せされて高くなる傾向があります。

一方でオリンピックに向けて訪日外国人はうなぎのぼりで一種の特需が日本を潤しています。デフレ時代、不要論も出たデパートは中国人サマサマの状況になっています。安くなくては売れないというマインドを取り去り、良いものを適正価格で売買する癖をつければ日本全体の経済状況は改善し、ひいては株価にもプラスの作用が働くと考えています。

株式市場のサマーラリーといえばサラリーマンのボーナスによる株式市場への資金流入も期待できると考えられています。成熟市場に於いては中国やかつての日本のバブルのように株価の独り歩きはありません。企業のしっかりした利益体質が堅調な株価を生み出すものです。そういう意味では日本が目指す株式市場とは健全性と堅固で崩れにくい市場であろうかと思います。これは証券取引所や金融庁などがしっかり押さえて市場の安定化を図ってもらいたいところです。

多くの日本人が普通預金に退避させているといわれる資金を投資に動かすきっかけになってもらいたいものです。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

岡本裕明 ブログ 外から見る日本、見られる日本人 6月24日付より