あえてメルケルおばはんを擁護する --- 山城 良雄

2015年07月19日 10:10

人間には、ブチキレ型ヘリクツ型とボケナス型とがある。中学生で言えば、「先生の言うことは聞け」と言われて、「なめとんのか、アホ、ボケ、カス」と反射的に答弁できるのがブチキレ型。悪いことするヤツは多いが、悪いヤツは少ない。

国で言えば、米・英・韓国・イスラム国なんかがこの例や。理念の単純化を目指すのがお国柄や。

次にヘリクツ型。「先生の言うことは聞け」と言われたら、「ほな、先生が『死ね』と言うたら死ななアカンのですか?」と定番の切り返しを用意している。悪い奴も多いが、滅多に捕まらん。

国で言えば、旧ソビエト、フランス、イスラエル、そして今回の主役ドイツあたりやろな。理念の体系にこだわる頑固者や。

最後にボケナス型、「先生の言うことは聞け」と言われたら、「それにしても、暑いわぁ。」と、アクビしながらボけるのがこのタイプ。悪意はないが、一番、はた迷惑なのがこいつらや。

中国、インド、日本、そしてギリシャ。枯れた文化がそのまま佃煮になっているような国々。理念の相対性を自明のこととしている。

西欧文明の3つのルーツに、ゲルマンの土着性、ユダヤ・キリスト教、ギリシャ・ローマの伝統があると言われている。ワシの分類で言えば、ゲルマン魂がブチキレ型、一神教思考がヘリクツ型、最後のヘレニズムはボケナス型やな。

もちろんこれは単純化したモデルや。サッカー界でゲルマン魂と言えばドイツ精神の別名やし、毛沢東思想なんぞは明らかにヘリクツ型や。アメリカのバイブルベルトはヘリクツベルトやし、高度経済成長やバブル当時の日本人はブチキレ型とも言える。実際、例外だらけや。

ただ、一人の人間の思想的は癖(思想自体では無い)は、一生の間、案外固定されているように思う。ブチキレ型の信長、ヘリクツ型の秀吉、ボケナス型の家康というわけや。

今回の主役のメルケルおばはん(親しみを込めてオバハンとも呼ぶ)は、東ドイツ生まれの優等生。共産主義がそれなりに輝いていた冷戦時代のお育ちで、典型的なヘリクツ型や。

なにしろ「世界で初めて経済というものを科学的に解明しました(笑)」という思想の共産主義や。魔女狩りや十字軍を生んだ中世キリスト教の「へ理屈てんこ盛り」神学を継承していて、「理論を突き詰めれば本質が見える」という、相当怖い発想が基盤にある。

さて、少女時代のオバハン。経歴を見る限り典型的な理系ノンポリのように見えるが、こういう人は、共産主義自体にはハまりにくいが(興味がないからね)、逆に、左翼特有の理屈っぽい思考方法には、「慣れ」として染まりやすいように思う。

処女のころから開発されたアノ感覚は、なかなか体から抜けない……って変態じみた表現で申し訳ないが、共産主義は立派に変態を名乗る資格があると思えるから、敢えて言わして貰う。

ましてや、理論物理学などやっていたオバハンや。理屈に合わん言動をする人間、それも国を代表する立場でのそういう行動には、激怒を通り超えて、腹の底から嫌悪感がこみ上げてくるんやろな。

自ら有権者を扇動して叩き出した国民投票の圧勝を、一週間もせんうちに議会でひっくり返すボケナス首相チプラスはんに、メルケルおばはんは、多くの日本人がブチキレ韓国に感じるのと同じ質の不気味さを、感じてはると思う。

ちなみに、ヘリクツ大国ロシアのプーチンはんがギリシャに冷たいのもボケナス嫌悪と考えたらわかりやすい。

地中海の要衝の国がEUと揉めて市民生活に影響が出たのやから、救援物資を満載した「バルチック艦隊」がアテネ港に襲来しても何の不思議もない。ところが今回は「がんばれギリシャ、EUと仲良くね」以上のことは言わん。「関わりたくない」がホンネや。

メルケルおばはんとプーチンはん。ヘリクツ人同士は話が早い。例のウクライナの時にも、アメリカをさしおいて、さっさと怪しげな停戦合意をまとめてしまった。

同世代(プーやんが2コ上)で、骨の随まで共産主義をたたき込まれていながら、そのイカガワしさを間近で見てきた者同士、話がしにくいはずがない。世が世なら東ベルリンあたりで、西ドイツ「解放」戦略を語り明かしていても不思議なかった間柄や。

それにしてもオバハン、今回は調子に乗りすぎたな。青息吐息のチプラスはんに、次々とムゴい条件を出して、最後は夜通し痛めつけた。

「ゾンビ・オブ・サッチャー」「ブリュッセルのドンキホーテ」「ミュンヘンの小学生100人が選んだ、お祖母ちゃんにしたくない人NO1」……とは言われてないが(推奨もせんで)、ネットではクーデター呼ばわりされるわ、今一番旬のコンビ「ピケティ&クルーグマン」からもネタにされるわで、散々や。

一方、負けたはずのチプラスはん。「首にナイフを突きつけられた」と騒いではるが、内心、やったぁと思っておるで。厳しい緊縮政策と言うても、後で簡単にひっくり返せる話ばかり。消費税やら年金やら抜け道はいくらでもある。「17時間の協議が終わると、オランド氏と笑顔で抱き合ってアテネに帰った」、家康型ボケナス芸の勝利や。

空港・港湾なんかの国営資産の売却にしても、民間所有以後も利益を国に吸い上げるカラクリは簡単に作れる。いくらオバハンでも、アテネ空港をベルリンに持って帰る訳にはいかんやろ。おまけに、売却資産管理団体はギリシャ国内に置くことになっって「仕事」がしやすくなった。

利益が出たらユーロで召し上げる、出なかったら二束三ドラクマで買い戻す。もともと額面通りの価値があるのかどうかさえ怪しい、東京朝鮮総連ビルのエーゲ海版……誰が、まともな値段で買うかいな。

で結局、ツケはオバハンとこに回る。「取り立て屋」呼ばわりされて入手した物件がちゃんと現金化できるかどうか不確定。一方、つなぎ融資やらIMF返済やらでギリシャの面倒の方は、しっかり見るはめになった。

貸したお金を返して欲しかっただけなのに、とボヤキたくもなるやろ。

借りた金を返すのは「当然の義務」。ここまでは世界標準。ただし、『当然』にこだわるのがヘリクツ人。「ただの『義務』かいな」と見くびるのがボケナス人や。ちなみに、ブチキレ人は、「返済の有無は腕力で決まる」と割り切っている。だからイギリスはユーロに関わらん。支配する自信がないからな。

結論を言うで。高額借金と零細経済を抱えたギリシャが、近い将来、立ち直る可能性は無い。「反緊縮」を1週間で止めた政権が、「緊縮」を何10年も守るはずがないがな。3日で作った緊縮法案なんぞ3日で消滅や。骨抜きだけなら3分でできる。キンシュクとヒンシュクは一字違い。数年でギリシャはユーロ圏から消える。英米のようなブチキレ国家が仕切っていたら、とっくに追い出されていたはずや。

さて、こうなると、ヘリクツ人間の論理志向が悲劇を生む。EUの理念とか、ヨーロッパの文化的起源とか、過去の反省から民族多様性を大事にするドイツとか、考えはじめるから身動きが取れなくなる。可哀想と言えば可哀想な話やが、メルケルおばはんには勝ち目がないやろ。

今回は擁護すると言いながら、同情するだけで終わってしもたが、ボケナス人間であるワシの言うこと、気にせんといてほしい。

今日はこれぐらいにしといたるわ

暑苦しいから暑さに強い、山城 良雄

注)引用記事は多いが、ニュースの流れが速く消えやすいので、今回はリンクをつけんった。

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