「三木谷オーナー現場介入」報道を裏読み

2015年08月01日 01:00

どうも新田です。パ・リーグのお家騒動といえば、それこそロッテの専売特許だったはずなんですが、今シーズンは5位に低迷中の楽天デーブルス…じゃなかった楽天イーグルスで元ハマのオバQこと、田代富雄打撃コーチがシーズン途中で辞任を申し入れ、スポーツ紙各紙で三木谷オーナーの現場介入が度重なり、現場サイドがうんざりしている的な話が飛び込んで参りました。


スポーツ紙
■“公然の秘密”!? オーナーの現場介入
この手のネット裏情報で一番切れ味が鋭いのは、東スポか日刊ゲンダイなんですが、今回に関してはサンスポが、田代辞任を報じた記事の本編の中で踏み込み、そして日刊スポーツが東スポのお株を奪うような裏事情解説記事を、本編とは別稿で出しているあたりが興味深いところです。

楽天三木谷オーナー過度な介入に現場混乱/記者の目
打撃不振の理由は田代コーチの責任だけではない。楽天には公然の秘密がある。三木谷浩史オーナー(50)の現場への介入だ。試合ごとにオーナー、監督、コーチ、フロントが携帯電話でやりとりを行う。数パターンの打順をオーナーに提出し、意見を仰ぐ。そのため打順が固定できないのだ。ここまで90試合を終え、72通りの打順が試された。

公然の秘密ねぇ。旧知の野球記者も「球界では以前から噂になっていた」と言いますから、まあ、ファクトがそれなりにあるのでしょう。チームが開幕から不振にあえいだ球界参入当初も、まるでサッカーのように、監督をシーズン途中で更迭しようとしたこともあったと聞きますし、星野さんが病気療養で不在中だった昨年も代行監督の人事を、佐藤投手コーチ(当時)で不振と見るや、二軍監督のデーブさんを招集する決断を即座に下すあたり、三木谷流の現場介入はあっても不思議ではないかとは思います。そのあたりの決断力の早さ、部下が無理と思ってもブルドーザーのように実行へ爆進させるパワーは、私も選挙を応援いただいた際に目の当たりにしたので、納得もします。

■超多忙な三木谷さんが毎試合の打順を指示できるのか?
ただ、どうなんでしょうかね。スポーツ紙の報道にケチを付けるつもりも、三木谷さんの肩を持つつもりでもないんですが、最近は知らないけど、本人は、海外出張も毎週のようにあるでしょう。本業のデイリーの経営を以前よりは部下に任せるようになってきたとか報道もありましたけど、本業以外にも政府のお手伝い(産業競争力会議)、新経済連盟の仕事もあって超多忙なのは変わりませんからね。だから、「試合ごとに携帯電話でやりとりを行う」というのには、にわかに信じられないんですよ。12球団の大概のオーナーは野球はお好きですが、レギュラーでもない選手の顔と名前まで完璧に把握し、ましてやシーズンに入ってからのコンディションをリアルタイムで認識した上で、「スタメンをアイツとコイツを入れ替えろ」的な介入が本当に「毎試合」できるのだろうか。

かつてバレンタイン監督の解任騒動で揺れた時のロッテを取材した時の経験から言うと、記者に情報を提供する側の思惑が色々と渦巻くものなんで、プロ野球の人気球団のような「お家騒動」の報道は、額面通り受け取れないような気もします。もう時効だし、スポーツ紙との付き合いも切れちゃったので書いちゃうけど、当時、ボビーを追い出したかった側の球団首脳は「次期監督」を続々とリーク。本流の日刊には、実際に後任となった西村さんの名前を開幕早々に書かせたかと思えば、スポニチが返す刀で翌日の朝刊で「与田さんが浮上」。さらに各紙との関連が深い球団のOBなら記者が喜ぶだろうと、報知には江川さんネタを進呈。ほかにも結果的に紙面化はされませんでしたが、「幻の特ダネ」として用意されていたネタとしては、デイリーに掛布さん、トーチュウに谷沢さんなんていうものがあったと把握しております。

■政局報道とストーブリーグ報道は似ている
だから、今回も三木谷さんの現場介入を快く思わない球団内の一派が、世論を味方につけようと話を150%くらいにして記者たちに情報提供している可能性もないと言い切れない感じがします。野球記者というのは、得てして、経営サイドよりはアスリート側に心情的には味方する人も多い。

かつて、たった2年だけですが、プロ野球報道の世界を覗いた身としては、永田町・霞ヶ関の狭いエリアで繰り広げられる政治家と政治記者の関係性と、球場という密室でやりとりがあるプロスポーツ関係者とスポーツ記者の関係性は似ているような気もします。永田町ほど魑魅魍魎が住んでいるわけではないけれど、世間の空気づくりの主導権を誰が握るのか、それはプロスポーツの世界でも同様ですね。ストーブリーグに見られる人事や球団買収といったニュースは、政局報道と同じように、読者側も冷静に見ていきたいものです。その意味では「メディアリテラシー」醸成のスタディケースとしては格好でしょう。

ちなみに、私としては本件がモノ本かどうかは、一般紙が今後踏み込んでくるのかどうかが試金石だと思います。大概、一般紙の球団担当はこの手のゴタゴタは情報収集だけはして様子見するのが相場。しかし、それでも書いてくるというなら、局面が一変してきますが、まあ、そこまで発展するかは今の段階では懐疑的な気もします。ではでは。

新田 哲史
ソーシャルアナリスト/企業広報アドバイザー
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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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